暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
溝-グレイヴ-
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に乗せてやってきた。温かいスープと野菜サラダ、パンが皿の上に並べられていた。
「ありがとう、姉さん」
ティファニアは、シュウとの間にできてしまった溝を忘れるかのように、食事にありついた。
「おいしい…ご馳走様でした」
彼女が間食し終わったところで、マチルダが普通に食事をとった彼女に安心感を覚え笑みをこぼした。シュウのことを気にし過ぎて食事にもあまり手を付けなくなるのでは、と思ったが、杞憂でよかった。
「それ、シエスタって子が賄いをくれたんだ。まったく、村の子たちは残さず食うのに、ここの坊ちゃんたちは好き嫌いが多いもんだね」
学院の生徒への陰口を、冗談交じりに口にする。破壊の杖ことMACバズーカを盗んで換金するために学院に潜り込んだ時から思っていたことだった。
すると、再び扉がノックされる音が聞こえる。
「やぁ、ティファニアちゃん、そしてマチルダさん。こんばんは」
マチルダが扉を開くと、隙間からムサシが顔を出してきた。
「ムサシ、さん…?」
少し驚いたように顔を上げるテファ。
「あいつは、今どうしてるんだい?」
マチルダはあいつ…部屋に押し込められているシュウのことをムサシに尋ねる。
「今はおとなしくしている。リシュちゃんやあの地下水ってナイフにも、逃げないように絶対見張っててくれって頼んだ。万が一彼がアスカって人を助けるために脱出を図ろうとしても、僕ならすぐに駆けつけられる」
さらに加えると、サイトもいる。シュウが変身という強引な手を使っても、こちらも目には目を、変身には変身を、というスタンスで監視を続けている。今はサイトが、ムサシが戻るまで彼の部屋の前で監視を続けている。
「…そう、ですか」
せっかくシュウと再会できたというのに、全く彼女の表情は晴れなかった。
ムサシは、テファのような、心に重いものを抱え込んだ人間の相手を何度もしては、その心をコスモスや仲間、そしてその人間の関係者らと共に救ってきたことがある。テファもまた彼らと同じように見えて、放っておくことができなかった。
「…ムサシ、あの馬鹿はこれ以上、あたしでもどうにもしようがない」
率直に、マチルダは思った。もうシュウのことは、今度はテファに二度と近づけさせないことも考えていた。自分がテファに、結果的にだが彼を召喚させた責任を放棄させないことを覚えさせるためにも、どんなにシュウが愚かな選択を選ぼうとしても見守ろうとした。でも、再会してテファがシュウの様子を見て苦しんでいることを指摘しても、シュウは戦うことを辞めようとしなかった。
「正直、見捨てる一歩手前だったよ。場合によっては、テファに記憶を消させることも考えた。あんたなら、どうにかしてやれるのか?」
「それはわからない。でも、なにかしら手を打つべきだろう。この世界のためにも、ティファニアちゃんのために
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