暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
溝-グレイヴ-
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が残酷な宣告を下そうとすると、地下水は慌てて許しを乞うてきた。
「ち、ちょい待って!?軽いジョーク言ってきただけっしょ!?」
「そんな下らんジョークを聞く気になれるか」
シュウはそう言ってベッドに横になる。窓際の方にはリシュが眠っている。
不幸などとは縁遠い、安らかで無垢な寝息と寝顔。姫矢准も訪れたあの戦場の惨劇を結果的に激化させ、果ては愛梨という大切な幼馴染を失ったあの時から、時々あの惨劇を悪夢で見てしまい、まともな睡眠ができずに起きてしまうことが多くなった。だからこうして眠っているリシュを内心では、羨ましく思えた。
…時々、思ってしまうことがある。あの内戦地の惨劇が、愛梨の死が、全て夢であれば…と。
地球でも、この世界でも経験した辛い悲劇全て、何もかも忘れて、皆と共に平和な世界で平凡に生きられたら、と。
でもそんなことを願うこと自体間違っている。自分の罪を忘れてのうのうと生きるなんて許されない。だから、自分のすべてを投げ捨てて、ナイトレイダーとして、ウルトラマンとして戦ってきた。今度こそ、自分が守りたいと思った人たちを守るために。彼らが、かつての自分がそうだったように、夢を打ち砕かれ大切な人を失って絶望することがないように。
レコンキスタの秘密基地からの脱出時にアスカが言っていたことも頭では理解できる。自分はあの時、自分の未来を見つめ直そうと思っていた。アスカやティファニアが自分にそれを望んでいたように…自分の未来にもう一度希望を持つことを。
でも、自分を気遣い、暖かな言葉をくれたアスカさえも巻き込んで危険に追いやった以上、もはやそんなことが許されないのは決定的だと思えてならない。いや、許されない。
だから、ナイトレイダーになったあの日から今まで続けてきたことを、この先も続ける。自分の犯した罪を背負えるのは自分だけ。自分だけしか、その責任を抱えられない。
次の作戦で万が一、力を貸してくれる平賀たちが命の危機にさらされてしまうことがあっても、いつも通りやればいい。自分の命を捨ててでも、彼らを…そしてティファニアたちを守る。たとえ二度とわかりあうことがなくても、己で決めたその使命は変わらない。
その後は、アスカとの別れ際で決めたように、皆の元を離れて孤独に戦って死んでいこう。


――――俺はどうなっていい、地獄に落ちてもいい、どう思われてもいい…

――――だからどうか……

――――これ以上、ティファニアやリシュのような優しい人たちを…



眠っているリシュの頭を撫でながら、シュウは強く願いながら、その日は眠りについた。



シュウが自分に与えられた部屋に閉じ込められている間、テファは自分とマチルダのために用意された部屋で待機していた。
「飯、持ってきたよ」
待っていると、マチルダが食事を台車
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