0092話『改二に向けて……菊月の不安と悪夢』
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は……」
菊月がそこまで言ったところで私は彼女の事を抱きしめてあげる。
それで菊月は少し体を震わせたけどそのあとは動きが止まったままだった。
そしてそれを都合がいいと解釈するひどい私がいたけどこの際だから利用させてもらおう。
「大丈夫……。菊月が夢で見る事はきっと起こらないよ」
「そうだろうか……」
「ああ。私はもう君達を誰一人だって沈めないって決めているんだ。だからそんなに不安に駆られないでくれ。
確かに君達は過去に轟沈した事があるだろう。
菊月に関してはいまだに本体だった船の残骸は現地に残されたままで思う事はあると思う」
「………」
菊月は黙って私の話を聞いていてくれた。
だから精一杯私もその想いに答えないとな。
「だから……不安になるなとは言わない。だけどそんな悪夢に負けないくらい強い心をもって挑んでくれ。
君達は決して弱くない。昔の経験だって生きてくる。
後ろばかり見ないで前に進むことも考えて行ってくれ。それが菊月とともに沈んでいった多くの英霊たちへの手向けになるんだから……」
そこで菊月の目から涙が一滴零れる。
「そう、だったな……。私がこうしてここにいられるのは多くの人々の願いが具現化したからだったな。
私達艦娘はこの国を守るために再び生を受けて今まで戦ってきた。
それが、決してゲームのキャラクターで仮想の存在だったからって関係ない。
私は私だ……『睦月型駆逐艦九番艦 菊月』……それが私だ」
どうやら私が全部言い切る前に答えに辿り着いたようだな。
これでもうおそらくだけど菊月は悪夢を見ることは少なくなるだろうな。
「司令官……もう大丈夫だ。離してくれ」
「わかった」
それで私は抱きしめていたままだった菊月を離す。
そして真正面で菊月は私の顔を覗き込みながらも微小だけど笑みを浮かべて、
「司令官。私は、私達はあなたのことを信じている。だからこれからもずっと信じさせてくれ」
「ああ。わかった」
「そして……もしこの戦争が終わって艦娘としての役目を終えて離れ離れになるかもしれない事態になってもいつまでも一緒にいてくれ」
「わかった。大丈夫だよ。今は私も艦娘なんだから消える時は一緒さ。な、榛名?」
《はい。できれば提督にはずっと生きていてもらいたいですけど消える時は一緒に消えたいものです》
そう言って榛名も透明の姿のまま菊月の手に触れるように手を添えて、
《菊月さん。大丈夫ですよ。きっと提督は私達の事を守ってくれます。信じましょう》
「ああ。わかったよ榛名さん。もう迷わない……まだこれからも何度も悪夢は見るかもしれない。だけどその際は姉妹たちに相談してみる」
「そうか。きっと菊月なら大丈夫さ。私に相談で来たんだからきっと睦月達も相談すれば一
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