第二十五話
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前の生活の話をするのはタブーだから、私からは話せないから、いつ気付くからなと。」
夕立は少々呆れた様子でこっちを見ていた。呆れる理由も分かる。なんせ、俺達四人は小学校からの同級生だ。何回も顔を合わせているはずなのに。
俺って相変わらず人の顔を覚えておくことが苦手だな、と思った。
「でもまぁ、よく俺達の顔とか名前とか忘れてなかったよな。」
悠人がそんなことを呟いていた。……そこは正直、俺も信じられなかった。他の人なら恐らく忘れていただろう。
「そりゃあお前らってのがな。」
俺は若干鬱陶しそうにそう言った。
幼稚園からの親友の顔は流石に忘れる訳がない。
「おまけに俺の部屋にはゴーゴンさんがドラム缶の上に鎮座してるからな。嫌でも毎日思い出すわ。」
そう、俺の部屋には例のドラム缶とこいつらから送られてきたゴーゴンさんがいる。しょうがねぇからドラム缶の上にゴーゴンさんをおいたら、なかなかいい感じだったので、そのままにしてある。
「だから言ったでしょ?絶対忘れないって。」
拓海は胸を張って悠人を見ていた。そうか、俺にゴーゴンさんを送りつけるアイデアはこいつか。後で誰も居ないところでシめとこう。
「とう。」
すると冬華が、隣りで胸を張っている拓海の脇腹を突っついた。
「ふぁ!?」
拓海は脇腹を突っつかれるのが昔から苦手で、いつも優しく大人しい拓海のこの反応が見たくてたまにしていた。
「期待通りの反応だな。」
「おう、懐かしいな。」
たったの二週間なのに、物凄い昔に感じてしまう。それだけここでの生活が忙しいということなのだろう。
……正直、寂しい。
俺はそんなに友達が多い訳ではないから、基本的に一人でいる。それでも大丈夫なのは、なにかと理由をつけてこいつらが話しかけてくるから。
振り回してくれるから。
一緒にいてくれるから。
いつか、一体いつになるのかは分からないが、いつの日か必ず、こいつらといつもの日常に戻りたい………そう思った。
「なにいい話にしようとしてるの!下手くそすぎるよ!」
「勝手に人の心を読むんじゃねぇ!」
……それだけの相手だから、相手の考えてることが分かってしまう。それも、テレパシーみたいなレベルで。
厄介極まりなくて、極めて厄介だ。
「まぁ、それほど仲よしってことっぽい!」
冬華、お前もか。
さて、俺はどう反撃をしてくれようかと考えていた。間宮さんにキムチ丼でも注文しようか。拓海が辛いの苦手だからな。それでも奢りだっつったら拓海は優しいからな、絶対食ってくれるだろう。
「ういーっす。いつもの頼むわー………
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