第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【Aパート 】
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北はブリューヌそのものの敗北に等しい。それを承知しているオリビエはなお指揮官の友人を口説く。
「ロラン。ヴォルン伯爵の義に、国王陛下の忠誠に応えたいお前の気持ちもわかる……だが」
「分かっている。俺も見栄や誇りだけでこんなことを言っているわけではない」
かすかに、視線を後ろに配るロラン。それは、ロランにとって『民』と同じように、守りたい『部下』が整列していた。
そんな仕草に気づいたオリビエは、友人の男を信じることにした。ロランは変わらずのままで安心したと――
ただの盲信で言うならば、必死に止めたであろう。大事 なことを忘れ盲目になっているのではないかと――
非道な戦いであるからこそ、正道にて導いていかなければならないのだ。
確かに『槍』は、今回の戦において危険な陣形かもしれない。だが、その認識がロランの意志を硬化させてしまったようだ。
『ブリューヌの騎士』として、戦争の過ちは正さねばなるまいと――
「布陣は完了している。いつでもいけるぞ」
「ああ」
そして、騎士団長は高らかに不敗の剣デュランダルを空へ掲げる。
「天空よりブリューヌの大地を見守る数多の神々よ!『逆星』を砕く我ら『勇者』の戦いをとくと御覧あれ!」
逆星……それは、流星の願いを砕く凶の星。星が持つ輝きさえも喰らい、闇に沈む正逆一体の球体。
軍配のごとく、デュ ランダルの切っ先を『叛逆者』に向ける。
「我が剣に続け!!!」
ナヴァール騎士団は一丸となり、『正義の槍』と化して突撃する!
轟く馬蹄――炎のごとく揺らめく騎兵のたてがみ――団長たるロランの覇気がいきわたる兵――
地面のぬかるみはない。前日に豪雨が訪れたが、この具合なら昼頃に安定するだろう。
だが、その昼頃を待たずして、この戦いに決着がつくなど、誰もが想像できなかった。
ロランにしても――小物とみなした逆星達が、これほどのものとは。
グレアストにしても――こんなにもあっけなくナヴァール騎士団が敗れるなど。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ナヴァール騎士団の動きを感知した銀の逆星軍は、『ジュウ』――マスケットと呼ばれる『火の槍』を三千丁と共に戦場へ着陣する。
ブリューヌ最強の騎士団と言われたナヴァール騎士団を迎え撃つ。
観察官の任につくグレアストが採ろうとした戦術は、かつてなく斬新で、なおも強大で、歴史上凄惨なものだった。
そこに、副指揮官のスティードの姿もあった。
「グレアスト卿――『ジュウ』の欠点は、弾込めの間、無防備になること――」
「その欠点なら解決済みですよスティード卿。我らに逆星の『三日月』があるが故に」
ナヴァール騎士団が得意とする、
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