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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【Aパート 】
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打ち破り、一騎当千を誇る戦姫さえも屠ったという『ジュウ』と呼ばれるものだ」

「そして目の前にいる陛下の敵が――銀の逆星軍」

目前には、何やら槍を携えている一個中隊が対峙している。遠くからでは確認しがたいが、言われて見れば『槍』に見えなくもない。
ただ、乳母車らしきものは見られなかった。どこかに秘匿している のだろうか?それはわからない。一つだけわかることがあるとすれば――

「この戦いの先に、ヴォルン伯爵の正義が示せるならば、俺は『鬼神』となりて戦場を駆ける」

揺るぎない強い決意表明に、オリビエは憂うような表情を友に向けた。そして、その言葉を振り切るかのように『今回の陣形』を団長たるロランに進言した。

「ところでロラン。今日の陣形は『三日月』にしないか?」

三日月の陣形――三つに分けた、独特の武装手段を有した部隊が多様な攻めで敵を翻弄する陣形。
ナヴァール騎士団が得意とする陣形の一つであり、幻惑する兵法にて指揮系統を『内部』より斬り崩すために練りだされたものだ。
確かに、『ジュウ』と呼ばれる未知の兵器に対し、一番有効な 手なのだろう。相手の出方がわからないのであれば、こちらから仕掛ける仕掛けるしか無い為、『機動力』と『突進力』を最大限に引き出した陣形が最も理に適っている。
しかし、ロランの返答はそれを却下したものだった。

「いや、今回は『槍』の陣形でいく」

「……ロラン?なぜだ?」

槍の陣形――天上の神々より見れば三角形の陣形。
これは、『一騎当千』の武力たるロランが先頭に立つことで、敵の出鼻をくじき、瓦解した雑魚兵を一掃したあとに、『決戦特化』のオリビエが指揮官を討つ、というのが『槍』の陣形の運用方法である。
ザクスタン、アスヴァール二国を常から相手取っている紛争の都合上、このような陣形が生み出された。自軍の損耗率に相手の遠征率をくじく ために。
もっとも、本来なら指揮官たるロランが後方に控えるべきなのだが、兵の先頭に立ち、敵を討つというのがこの男の使命だと、自分自身で思っている。
先ほどのオリビエの問いに、ロランは答える。

「この戦はブリューヌの『大義』を背負って戦わねばならない。銀の逆星軍の恐慌に苦しむ民に勇気を示すために」

たった一つの――正義の『槍』として。
その言葉に、オリビエは一定の理解を示した。だから近隣の騎士団にも援軍を要請しなかったと――
例え討伐に成功できたとしても、国王直属軍であるナヴァール騎士団が『ようやく勝てた』となれば、国王の威信にも、王に忠誠を誓う貴族や民の信頼を砕いてしまう。ただ勝てばいいというわけではない。ロランなりに勝利 したその後のことも考えているのだろう。
かといって、この戦いは『決して負けられない』ものであることも事実だ。我々の敗
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