ウィザード・トーナメント編 前編
君に決めた! その弐
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子だ。その服装は学園の規定の制服にどことなく和を感じさせる装飾が施されていた。そして行動も見た目のままで、自分でたてた茶を飲んで待っていた。
「ご覧の通り、私は決して退屈などしていません。どうぞお隣が空いておりますので。」
「あ、分かった。」
なんだか手玉に取られたような感覚がしたが、別に悪い気分ではなかった。俺は時間に厳しい人は苦手だ。真希乃に限っては話が別だが、基本的には彼女のようにおしとやかな性格の方が好みだ。
座ってようやく気付いたことだったが、ここはマーリン学園の庭園の中でもとくに日本の花が咲く場所。四季を問わずここには桜などが咲いている。
宙を舞う花びらの影響で彼女の姿がより際立っているのを感じた。その光景は本当に1つの絵にできそうなくらい儚さとそれ故の美しさをかもし出していた。
「では、貴方の用件を聞かせて頂けますか?」
「あぁ、ウィザード・トーナメントで俺のパートナーになって欲しいんだけどお願いできないか?」
少しの間沈黙が続く。それだけじっくり考えてくれているということだと俺は解釈した。これは今まで以上にパートナーになってくれる可能性が高そうだ。
「あの.....」
「なんだ?」
「先に自己紹介をしてもよろしいですか?」
「...........えっ?」
思わず突っ込みたくなる気持ちを無理矢理押し殺し、とりあえず彼女の分析を始めた。まぐれなのかも知れないが、もし彼女がただおしとやかな訳ではなく、純粋に馬鹿な奴なら少し問題がある。
今後、俺が彼女を制御する必要があるわけだ。それは普段のコミュニケーションにおいても、ウィザード・トーナメントにおいても変わらない。すなわち、放っておけば制御の効かない爆弾と同じようなものだ。
だが今はとりあえず彼女のペースに合わせるために自己紹介をすることにした。
「俺は造偽 誠。お前は?」
「はい。私は出雲 美湖と申します。」
とにかく容姿から何から何までそのままのイメージ過ぎて、むしろ違和感を感じそうだ。これまでもそうだが、俺が相手に対してマイナスの感情を多く抱くのは、初対面の段階ではあまりフレンドリーに接することができない、つまり俺も問題児なわけだ。
「じゃあ改めて聞かせて欲しいんだが、ウィザード・トーナメントで俺のパートナーになってくれないか?」
「なるほど。要件とはそのことだったのですね。ですが良い答えはできません。私には既にパートナーがいらっしゃるのです。」
「名前は?」
わざわざパートナーの名前を聞いたのはこの上なく嫌な予感がしたためだ。とくに伊豆奈に対する嫌な予感。
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