第一章 天下統一編
第十九話 同士
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を視界に捉えると驚くが直ぐに姿勢を正し頭を下げた。
「福島様。蜂須賀様。ご苦労様で御座います」
「私は二人と奥で込み入った話をする。家老達にも声をかけておいてくれ」
「かしこまりました」
柳生宗矩は俺に要件を聞き終えると、福島正則と蜂須賀家政に頭を下げ、足早に立ち去った。
俺は福島正則と蜂須賀家政を陣所の奥に通した。二人の家臣達は陣所の入り口付近で待たせている。俺達に遅れて藤林正保、岩室坊勢祐、曽根昌世の家老達が遅れてやってきた。家老達は二人の客に順に挨拶していた。
これで全員集まったな。
この二人、福島正則と蜂須賀家政、にどこまで話すべきか。
俺は福島正則と蜂須賀家政に視線を向ける。二人と視線が合った。二人とも俺が話出すことを待っているようだった。
「どこからお話すればいいでしょうか?」
俺は笑顔で二人の顔を順に見た。
「全てだ」
福島正則は俺の目を捉えて放さず即答した。
「城攻めに失敗した時の罰が切腹とは苛烈過ぎる。単独で城攻めを行う許可を得るにしてもな。お前は俺に黙っていることがあるだろう。関白殿下は厳しい御方だが命を奪うにしても段階がある」
言葉を切った福島正則は会話を再開した。彼は厳つい目で俺を凝視していた。彼の指摘は鋭い。虚言を口にすれば殴られそうな雰囲気だ。
この二人に嘘を突き通せる自信はない。
秀吉から朱印状を出してもらったことを話すしかない。
俺は懐に手を入れた。秀吉からもらった朱印状は何時も肌身離さず懐に入れ身につけている。もちろん寝る時もだ。着替える時も可能な限り手放さないように注意している。
福島正則と蜂須賀家政は俺の胸元に視線を落とした。俺は徐に油紙に包んでいる朱印状を取り出し彼らの前に差し出した。彼らの視線が朱印状に向かう。
「これは何だ?」
訝しむ福島正則は朱印状を一瞥すると俺に聞いてきた。
「関白殿下から抱いた朱印状です。伊豆国を知行すると安堵状をいただきました」
福島正則と蜂須賀家政は驚き朱印状を視線を落とした。
「知行安堵状だと!?」
蜂須賀家政は動揺している様子だった。伊豆国は豊臣軍に侵攻されているとはいえ、未だ北条家の領地だ。それを秀吉は俺の領地として知行安堵状を発給している。
「切腹の条件がついた理由はこれが原因か?」
驚く蜂須賀家政を余所に冷静さを取り戻した福島正則は俺に詰問した。その表情は厳しかった。俺は深く頷いた。
「何故そんな真似をした。これでは関白殿下にお詫びしてもお許しいただくことは難しい」
福島正則は眉間に皺を止せ視線を落とした。
「韮山城を落とすために朱印状が必要だったからです。私は伊豆に入る二月前から国衆の調略を行
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