第3話
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わったのは12時25分ごろであった。
今日のうちにクリアできる内容であったことは結構ありがたいな。明日はムンビをやってみよう。あの確立に挑戦するのもこのゲームの楽しみだからね。
残りの時間、大変暇になってしまった。母親がリビングの机に置いていった1500円が僕の昼飯になるようだな。
どこか出かけるか。
そう思い、私服に着替えてから電車に乗り街へと出てきてみた。いつも騒がしい車の音と、人の歩く足音が延々と聞こえてくる。そして、僕自身もその人ごみの中に入る。
人込みはいつものことのようで、僕のような学生と思えるような人間がいつもの情景に混ざり、明日から始まる高校生活を今は忘れて友人と会話を繰り広げている。
平日だからだろう。人込みはあれど、見えてくるのはスーツの人ばかり。私服の人間も多いがやはり仕事をしている最中というオーラを醸し出している。学生と思える人物たちはその中でも目立つように屯っており、見ていて現代日本らしい情景だと言える。
僕は、その中大きなモールの中にあるファミリーレストランに入り、適当に選んだものを口にしている。特に話す相手もいないので、自分のスマホを手に持ち、ずっと右指を上下運動させている。
そして、周囲にはさも当然のように学生たちが私服で会話を楽しんでいる。友人と会話することの楽しみを噛み締めてくれいているのか、ただただ一人でいる僕の方に視線を向けることはない。
と、思った矢先だ。女だけの3人組が小さくだがこちらに一瞬指を向けた。前かがみに聞こえないようにひそひそと話している。
いつもの情景だ。彼女らに悪気はないなんて言わない。むしろ悪びれる気がない。彼女ら、彼らは人間をカーストのどこにいるかで判断しているのだ。これはゆるぎない彼女ら、彼らの中に存在する近代の常識の一部であり、これからも不変となってしまう常識のうちの一つなのだろう。
僕自身がそんなことを考える。誰に知られるわけでもなく、口と指先だけを動かしている僕だけの会話で行われる。相手はいない。
今、彼女たちが写真を撮ったな。僕を撮った。しっかりとシャッター音が鳴ったのを僕は聞き逃さないし、周囲も気づいている。が、この冷たい国ではそんなことは気にも留めず、また会話へと戻っていくのだ。
そうして食事が終われば、スマホをしまってレジに向かう。一つのメニューで1000円を少し過ぎるくらい。残りのおつりはしっかりと返さなくては。
考えながら、僕はさらに階段を上がる。時刻は1時を少し過ぎたぐらいか。ゲームセンターに向かうには絶好のタイミングだ。
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