ターン75 鉄砲水と英雄、空爆
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なかった。だからこそその苦しみを堪え、断腸の思いで頭を下げている。
今の2人の気持ちを想像すると盗み聞きする僕には図々しい、という思いより先に同情すら湧いてきたが、十代の出した結論はどうやら違ったらしい。
「俺達は同じ穴の狢だから、俺にその尻拭いをしろってか?」
珍しい、というか僕もほぼ聞いた覚えのない十代の皮肉と、その内容の正しさに押し黙る大の大人が2人。ああもう、見てらんない。
「同じ穴の狢、ねえ?確かにそうも言えるだろうけど、僕の見立ては少し違うかな」
「清明!?どうしてここに!?」
「君は……そうか、君もここに来ていたのか」
あ、しまった。情報収集だけやるつもりだったのに、見てられなくなってついつい口出しちゃった。こうなった以上仕方ないので、身を隠すのは諦めて藪の中から立ち上がる。せめて最初からここで出てくる予定だった風に見えるようなるべくさりげない動きで制服中に付いた木の葉や小枝を払い落とし、極力澄ました顔で十代の目を真っ直ぐ見据えてやる。
「お久しぶり、斎王。さて、十代。この状況だけど、僕はこう読んだね。踊るアホウに見るアホウ……なら、同じアホなら踊らにゃそんそん、さ。ここまで来た以上、僕は今になって見るアホウにはなりたくないね。1人でどっか行こうだなんて、そりゃちょっと水臭いんじゃないの?」
この時十代が何を言おうとしていたのかは、わからない。まっすぐに見返してくる彼の目は深く、そこから何らかの感情を読み取ることは難しかった。それに、もし彼が何か言い返そうとしていたのだとしても、それはすでに遅かった。突然島全体を揺るがすような地響きが起き、空間がぱっくり割れてその裂け目から奴が現れたのだ。
「これはこれは御揃いで。また会ったね遊城十代、それに遊野清明」
「お前は!」
「ミスターT、また来たの?懲りないね」
あの反応から見ても、やはり十代のところに来ていたのは間違いなかったらしい。あっちに行ったりこっちに来たり、何ともせわしない奴だ。
「清明、お前もこいつに会ったのか?」
「ちょっとした仲でね、互いに互いが大っ嫌いなのさ。斎王、それに影丸さんも。ここは逃げたほうがいいと思うよ」
「本来ならば私も戦うのが筋なのだろうが……そうさせてもらおう。本当にすまない」
それだけ言って車椅子を押し、近くに止められたヘリに乗り込む2人。パイロットは別にいたらしく、ドアが閉まるや否やプロペラが回転を始めた。そしてほんの一瞬目を離したすきに、ミスターTはその底知れない力を新たな方法で開放していた。
「「逃げるなら別に追いはしない。私が用があるのは君らの方だ」」
「増えた……?」
「相変わらず何でもありだねえ」
なぜか二重に聞こえる声に振り返ると、そこにいたのは背格
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