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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン75 鉄砲水と英雄、空爆
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行こうかな、ってさ」
「なら、私たちは聞き込みね。行くわよ、万丈目君、剣山君」

 今はこの場にいない十代の存在が中心となってようやく動き出すあたり、彼の影響力の強さがよくわかる……なんて、しみじみしてる場合じゃない。最近の世捨て人っぷりは目に余ってたし、これもちょうどいい機会だろう。
 だが結論から言って、この考えは不発に終わった。レッド寮にたどり着いた時十代はそこにはおらず、ファラオもどっか行ってしまったため大徳寺先生に話を聞くこともできなかったのだ。

「散歩でもしてんのかね、ったくもう。じゃあ僕は海の方を探しに行くから、翔は火山の方、夢想は海の方をお願い。見つけたらちゃんと連絡すること、いい?」
「了解、って」
「わかったよ」

 レッド寮の前でさらに三手に分かれ、それぞれ割り当てた場所に十代を探しに行く。ただし、僕の狙いはそこではない。適当に海の方へふらふらと歩き、周りに誰もいないことを確かめてからデュエルディスクを展開する。

「……チャクチャルさん、どう?」
『少し待っててくれ、今探してる』

 散歩、ねえ。一応口ではああ言っておいたけど、僕だってそんなものを本気で信じてはいない。このタイミングで行方不明ということは、まず間違いなくミスターT絡み。恐らく、僕のところに現れたのと同様に十代にも何らかの形で接触したのだろう。あの十代のことだからただでやられるなんてことはないだろうが、だからといって放置なんてありえない。これでも親友のつもりだ、そこまで冷たくはない。

『お、いたいた。校舎……を出て、島の端の方向か?追いかけるか、マスター?』
「当然。今も動いてるの?」
『そのようだな。真っ最中ではなさそうだ』

 なるほど、少なくとも今は安全ということか。とにかく合流しようと、チャクチャルさんの示した方向へと早足で崖沿いの森の中を歩き出した。ありがたいことに、常に正確な相手の位置をナビしてくれるチャクチャルさんがいるので見失う恐れはない。なので周りの様子に気を配りながら歩く余裕すらあったが、僕が見る限りいたって普通の海沿いの光景だけが広がっていて、この場所に新たな危機が迫りつつある……かもしれない風にはとてもじゃないが見えない。海は穏やかで空はそこそこ晴れ、海風が心地よく吹いている。
 見た感じの世界は凄く平和で、のどかで、きれいなものだ。本物のヒーローならこの景色を見て、この世界を救おう、守ってみせるという決意を新たにしたりするのかもしれない。だけど僕は、そんな大それたことは思わなかった。というかいい加減、ヒーローの真似事をするのは懲りた。この世のあらゆる難しい話は僕にとっては専門外、もっと世の中単純に行こう。敵が喧嘩を売ってきた、だから残さずぶちのめす……ほら、だいぶわかりやすくなった。それでいいし、
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