0090話『瑞雲浴衣祭り』
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そこで町長さんが少し驚いた表情になりながらも、
「おう……提督のお嬢さん。綺麗になりましたな」
「はは……どうも」
褒められるのに慣れていないのをなんとか気にせずに本日の予定を話していく。
「それで町の活気はどのような感じになっていますか……?」
「ええ。盛況と言えるでしょうな。艦娘の皆さんにも深海棲艦が来ないか見張ってもらっていますので不安になる事はありませんしね」
そう、今は川内を中心に交代で近海の海を哨戒してもらっている。
この日のために頑張って着付けをしようとしていた者も数名いるのでその恨みを今頃深海棲艦に向けて発散している子もいるだろうしな。
「そうですか。それでは本日も盛り上げていきましょうね」
「はい。よろしくお願いしますね」
そんな話をしながら私と町長さんはそこそこ暗くなってきた夜の町を回りながらも今後の事に関して話していた。
「しかし……提督さんの艦娘達は素直な子たちが多くて助かっていますよ」
「そうですか?」
「ええ。聞く話によりますと他の鎮守府の提督と艦娘はこんな行事には参加しない人達も多いと聞きますので……」
それを聞いてやはりか……と思い至る。
私の方が異端だと思われるのも癪だけどこの世界の提督達は基本深海棲艦を倒すために日夜心身をすり減らしていて心に余裕がないのだろうな。
だからこんな大本営が企画したある意味提督達にとっても癒しのイベント事でも参加するくらいなら深海棲艦を倒している方が戦果にも繋がるからいいだろうという考えをする提督が多いと前に柳葉大将に電話で聞いた覚えがある。
「そうですか。まぁ、仕方がないですね。きっと私の方が他の提督の方々と比べて考えが甘いんだと思います」
「そんな事はありませんよ。提督さんが普段たまにこうして町に視察として顔を出してくれているおかげで私達町の者達は安心して暮らしていけてるのですから……。
特別な視線も向けることは無く提督さんも町の一員として見れるので私達役員もいちいち緊張せずに付き合いができるので助かっています」
「持ちつ持たれつな関係ですね」
「そうです。ですから提督さんも気にしないでください。世間の目なんて私達でなんとかしますから」
そう、町長さんは言ってくれた。
ここまで町の人達と信頼関係を結べていてとても嬉しいと思う。
いまだに庶民感覚が抜けない私としてはこんな関係がベストな状態だなと感じていた。
それから町長さんと町を回りながら艦娘達がわざわざこの日のために練習して出している屋台や踊りを見ながらもまた記憶の一ページにこんな楽しい思い出を刻んだのであった。
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