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歌集「春雪花」
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 逢えしかと

  雲間に仰ぐ

   天の川

 高き空にそ

   想い差したり



 久方に晴れた七夕の夜空…田舎では毎年曇っていたものだが…。

 淡い雲が掛かるものの、うっすらと分かる天の川に…織女と牽牛は逢えたのかと問うてみた…。

 私が想う人には逢えそうにない…ならば、せめて伝説の二人には逢ってもらいたいものだ…。



 ねやにさす

  清けき月に

   小夜更けて

 笹の葉揺らす

    風の吹きにし



 部屋で寛いでいると、開け放した窓から月明かりが射し込む。

 随分と高く昇った月に…こんなにも夜が更けたのだと思った…。

 そんな月を仰ぎ見、彼は…この美しい月夜を眺めただろうか…と、思っては寂しく感じた…。

 ふと…外から笹の葉が掠れる音がし、部屋にそよ風が入る…。

 せめて寂しさが和らぐようにと…織女と牽牛が寄越してくれた風かも知れない…。


 そう思い…独り、苦笑した…。




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