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SAO:tr3―この世界での日常―
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ですかね。
 私達のことなんて放って置いて良いのになぁ…………。
 何とかして抗うためにも反抗材料を思い浮かようとするなか、兄がもう一度反撃を開始した。

「いや、やっぱり遠慮しとくよ。アスナも知っているだろ、パーティーメンバーの助けよりも邪魔になるデメリットの方が多いってこと」
「あら」

 その刹那、アスナが笑みを浮かべたと思った時にはナイフを兄の鼻先にピタリと据えられていた。
 ……兄も強がって余計なこと言わなければいいのに。この場にいた誰もがアスナの行動に身動き出来なかった。つまりアスナは相手の技の軌道を見抜けない程の実力があるという証明をされてしまったというわけだ。
 この期に及んでアスナは足手まといだと言えないでしょうね。

「キリト君も知っているでしょ? ついでにドウセツの実力は保障するし、キリカちゃんは……キリト君が一番解っているよね?」

 笑みを保つアスナの発言がとどめになったのか、兄は両手を軽く上げ降参のポーズを取った。

「解ったよ……俺の考えが浅かった」
「それでいいのよ」

 アスナは兄の鼻先に突きつけているナイフを引っ込めた。
 あぁ……この流れはもうアスナが握られている様な気がする。冷静に考えたら、アスナからの誘いを断る理由がほとんどないんだよね。
 兄の実力は妹の私が誰よりも知っている。ソロプレイヤーでは間違いなく最強だ。そんな兄と最強ギルドである血盟騎士団の副団長の『閃光』のアスナに加え、元血盟騎士団で兄に負けず劣らずの実力を持っている『鬼道雪』のドウセツの三人と一緒に攻略するデメリットが存在しないんだ。大分楽になるのは確かだし、安心感をこれ以上ないぐらいに得ることになる。
 ソロでは限界も限られてくる。アスナが言った通り、想定外の事態に対処出来ない時が必ず訪れるだろう。その時、私が無事でいられるのかは自分さえも保障してくれない。
 攻略組として、最後まで生き残ってゲームをクリアしたいのであれば、アスナの誘いを拒む理由はない。
 ……ただ、私仲間と行動することに対して、“未だに恐れている”。
 忘れることができない過去の出来事。
 忘れることを許されない、自分自身の過ち。
 あの出来事とあの言葉が……何度も脳裏をよぎり、胸を締め付けられる。
 …………私は未だにあの出来事から、ちゃんと向き合えていない。怖いんだ。自分のせいで助かる命を落としてしまうことが……。
 …………。
 …………駄目ね、私。
 ここでアスナの誘いを拒み続けて、勝手に独りで死んだらいろいろと申し訳ないよね。こういう時こそ、頼らないといけないよね。
 ちゃんと向き合うって決めたんだから、逃げてばっかじゃだめだよね。
 少しずつでもいいから、前を向こう。

「……アスナ、提案を出していい?
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