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SAO:tr3―この世界での日常―
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グー・ラビットの肉のシチューが完成され、食卓に整らえる。
 目の前にある大ぶりな肉の塊に、芳香するブランシチューがたっぷりと盛りつけられている。こんなの美味いに決まっている。
 でもこれもデータという食べ物。ラグー・ラビットの肉が入ったシチューというデータを胃に詰め込む。現実と比べると味気もないだろうとSAOがデスゲームになった時はそう思った。
 ところがどっこい。データで変わりないけども現実世界に近しく味も再現され、どういう手段なのかはさっぱりわからないが栄養も与えられていて、満腹感を味わえることができる。
 今日ほど、これまで頑張って来て良かったと思うことはないだろう。

「「いただきます」」

 意外にもドウセツは挨拶してから食べ始め、兄とアスナは何も言わず、スプーンで最上級の食べ物をあんぐりと頬張っていた。まあ、兄やアスナの気持ちはわからなくないけどね。私も早く食べたい。
 兄、アスナに続いて、私達もラグー・ラビットの肉が入ったシチューを口の中に入れ、味を確かめる。

「……こ、これはっ!?」

 思わず、スプーンを落としそうになった。
 
「めちゃ、めちゃめちゃ……美味しい!!」

 柔らかい肉に歯を立てて、溢れるように肉汁がほとばしりて、肉汁とうま味で溺れそうになる。
 『味覚再生エンジン』とか様々な物を食う感覚を脳に送り込むとか、システムが脳の感覚野を盛大に刺激しているだけにすぎないとか、そんなシステムなんか関係ない! ラグー・ラビットの肉のシチューは生まれて一番美味いの一言に尽きる。
 この美味しさを私は誰かに共感してもらいたい。

「これ、めちゃめちゃ美味しいよね!」
「「「…………」」」

 ……あれ?

「み、みんなもそう思うよね!」
「「「…………」」」

 ……あ、あれ?
 何でみんな無視する? 食べることに集中しているの?

「あ、ドウセツはお上品に食べるのね。美味しい?」
「黙って」
「え、いや、感想聞いているだけだよ? それにお喋りしながら食べるっていうのも……」
「黙って」
「えと」
「黙って」
「……はい」

 その後、私達は一言も発することなく食べることに集中して黙々と美味を味わった。



「ああ……今まで頑張って生き残っててよかった……」
「じゃあ、私はこれで……」

 食べ終えたアスナの感想を余所に、お上品に食べ終わったドウセツは立ち上がって去ろうとする。そんな彼女を私は彼女の腕を掴んで引き止める。

「え〜待ってよー、もう少しいてよー」
「別に好きでついてきたわけじゃないんだし、もう用がなくなったわ」
「だからって私達仲間でしょー? つれないこと言わないで、まだ一緒にいようよー」
「……うるさい。わかったから
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