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SAO−銀ノ月−
歌声
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が、この際しかたなしに断腸の思いを込めて本人に聞いてみれば。

「へっ? ちょ、ちょっと……そんなこと、いきなり聞かれても……」

 ……サプライズしたであろう時と、似たようなリアクションが見れたので、個人的にはよしとする。他の友人たち全員にはリズのプレゼントのためだとバレていたというのに、どうやら当のリズ本人は俺が《オーディナル・スケール》にただハマっていただけと、本当に思っていたようで。走ってきたからとは違う頬の紅潮を浮かばせながら、目を泳がせつつリストを見るリズの姿を、脳内に保存するべく目に焼き付ける。

「こ……これ、とか」

 そうしていると、震える指でリズがある景品を指差していた。そこにあったのは――有名な温泉宿のペアチケットというものであり、今までリズを恥ずかしがらせていた天罰かのように、全身の血液が沸騰していくのを感じた。何とか自分を抑えることに終始してよく見てみれば、やはり温泉宿のペアチケットなどという大物だけあって、貯めに貯めたポイントであってもまだ足りない景品でいて。

「なあ、リズ……」

「分かってるわよ。ポイント、足りないんでしょ?」

 申し訳ないがちょっと待って欲しい、とリズに語る前に、当のリズはこちらのランキングなど把握しているのか、先程までとはうって変わって不敵な笑みを構えていて。今度はあちらが《オーグマー》でウインドウを可視化させる番なのか、この近辺で始まろうとしている、《オーディナル・スケール》のイベントが表示された。

「足りない分、二人で取りに行きましょ!」

 ……ああ、ただ貰うだけなどとリズが許すわけもなかった。プレゼントが何かを悩んでいたばかりで、そんなことを忘れてしまうとは。ポケットから《オーディナル・スケール》をプレイするための手持ちの端末を構えて、リズはやる気十分といった様子を示してみせる。

「あんなことになっても、まだやる気なのか?」

「罪を憎んでゲームを憎まず、よ。……てか今更じゃない、それ」

「確かに」

 《SAO》なんてデスゲームに巻き込まれた癖に、それでもなおゲームなどやっている俺たちには今更な話で。そんな言葉を交わしながら、その《オーディナル・スケール》のイベントが開催されるという場所へと、揃って歩いていく。

「時間ギリギリ、まだ結構いるわねぇ」

 旧SAOボスのレイド戦も終わって、多少はその勢いが下火になってきてはいるものの、まだ《オーディナル・スケール》のプレイ人口は衰えてはおらず。少なくともゴールデンウィーク中はこんな調子だろうと、《ALO》のようなVRゲームは大変だろうな、などと他人事みたいに考えながら。

「んじゃ、ちょっと揉んでやりましょうか!」

「久々だからってミスるなよ、リズ」

 イベント
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