0089話『初期艦の七夕の願い』
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しかなかったのです。
このままじゃいけないと思いつつもこれ以外に自衛の方法を知らなかった……。
そんなギスギスした空気の中司令官さんは榛名さんに宿って再び私達の前に現れてくれました。
最初に私達に言葉を発した瞬間にあの人は榛名さんじゃないと直感で思いました。
同時に最初からの付き合いの私にはあの人は司令官さんだとすぐに気づきました。
でも周りの皆さんはそれでも疑心暗鬼が抜け切れずに司令官さんの言葉を聞きませんでした。
そしてとうとう司令官さんは土下座までする騒ぎになってそれでようやく皆さんもその人が司令官さんだと気づいたのだと思います。
それからはうまくとんとん拍子に司令官さんは私達の場所へと帰ってきてくれました。
そしてそれから今日という日まで色々な事を体験しました。
この世界の軍の人との話し合い、交渉……。
この世界に慣れるために試行錯誤し始めた皆さんにそして私。
この世界に来て初めての大規模作戦。
そこから見え隠れしてくるこの世界が抱えている闇の一端。
熊野さん達が言い出したもし助けのコールがあったら助けようという話し合い。
たくさん、たくさん経験しました……。
それでもどの事でも必ず中心にいたのは司令官さんでした。
司令官さんが動けば私達は信頼をもって従っていきます。
それはこの世界に来る前から変わらない不変の気持ち。
司令官さんはひどい命令はしない事は初期から知っている私は知っています。
轟沈した時に何度も涙を流したのを知っています。
そんな心優しい司令官さんだから……。
だから、いつでも頼ってくださいなのです。
私は目の前で七夕の準備をしている司令官さんを見ながらそう思っていました。
「電、そっちのひもを取ってくれ」
「はいなのです」
司令官さんに呼ばれるたびに嬉しい気持ちが溢れてきます。
……ああ、司令官さんは私を必要としてくれているんだなと心が歓喜します。
その気持ちは今は出さないでいるけどいつか素直に伝えたいのです。
そして司令官さんがいくつもの笹の葉の準備が終わったのか、
「さて……それじゃみんな! 短冊の準備はもう済ませてあるか!?」
司令官さんがそう叫びました。
今の司令官さんの声は榛名さんの声でもあるので少し男ぶっている女性のような感じですけど中身は司令官さんは男性なのですから当たり前の事なのです。
そしてその司令官さんの言葉に皆さんは「「「はーい」」」と返事を返していました。
「電、あなたはなにを願うの……?」
暁お姉ちゃんにそう聞かれたので私は笑みを浮かべながら「内緒なのです」と言った。
「えー? 教えてくれてもいいじゃない!」
「暁ー? 無理に聞き出すのはダメよ?」
「そうだよ暁」
そこで雷ちゃんと響ちゃんが同調
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