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歌集「春雪花」
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 露に暮れ

  絶へて久しく

   影も見ず

 現も夢も

   然して変わらじ



 梅雨の空…小雨が降り続く中、陽もとうに暮れた宵闇…。

 あの頃は…田舎で彼と不意に会うこともあったが、今はもう…。

 夢の中でさえ会えず…現実にも会うことは叶わず…。


 寂しく悲しいだけならば、夢も現実も然程変わりなく…ただただ、虚しいだけだ…。



 光りなく

  雲に閉じにし

   天の原

 想い侘しく

    雨音ぞ聞く



 雨雲に覆われ、月も星も見えぬ漆黒の闇…。

 これだけの広大な空に…光一つ見つけられないとは…。

 まるで…この広大な地で愛した人に会えも出来ない自分…そう思うと、光なぞ見つかる訳もないと苦笑する…。

 雨の止む気配はなく…その雨音は、一人寂しくもの思う心に沁みた…。




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