聖者の右腕U
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珍しく、口達者である凪沙のおしゃべりが止まった。それもそのはず、さっきニュースで見た失踪したはずな男性操縦者がクラスメイトの住んでいる隣の部屋から大きく欠伸をしながら出て来たのだから。
「ん?」
欠伸を終えたアインは眠そうな目で凪沙を見る。次の瞬間にはその力無い目も驚愕で見開かれた。
「古城君古城君!見て見て!あの人だよ!でもなんで雪菜ちゃんの部屋から出て来たの?ていうか古城君がさっき雪菜ちゃんの部屋に行ってたのってこれ??なんで教えてくれなかったの、古城君?」
「おい暁古城。どういう事だ」
「すまん、うちの妹だ。おい凪沙、そろそろやめとけ」
そう言って慣れた手つきで凪沙の後頭部を軽くチョップする。
「痛いよ古城君!何するのさ!」
「こいつが驚いてるだろうが」
「こいつ扱いってどういう事??世にも珍しいISの男性そーーむぐっ??」
凪沙が男性操縦者、と言おうとしたところでアインが凪沙の前に出て左手で凪沙の口を塞ぎ、右手の人差し指を伸ばして自分の口の前に持ってくる。俗に言う『静かに』を表したサインだった。アインは凪沙に「OK?」と問う。その意図を理解した凪沙は首を縦に振る。アインは凪沙の口を塞いでいた手を離す。
「これからは女権に付け狙われるだろうからあまり大声で公表したくはない」
女性権利保護団体。略して女権。保護といえば聞こえはいいが実際は多くの政治家や富豪を取り込み社会へ女性の権利拡大を訴える団体である。
「女権だぁ?」
「俺はISという女の特権を揺るがしかねない爆弾だぞ?俺から得られたデータで男がISを操れるようになる可能性がある。自らの特権を守りたい奴らがそんな危険な爆弾を処理する。当然のことだろう?」
「意外にサッパリ受け止めてるんだね」
「世の摂理だからな」
「うわぁ〜・・・」
「なんだ」
「冷めてる」
「言うな」
「凪沙ちゃんは物怖じしないと言うかフレンドリーと言うか・・・」
「凪沙のマシンガントークは初対面だろうが顔見知りだろうが見境なく平等に標的認定されるからな。あいつには悪いが先に降りとこう」
「なっ暁古城貴様!俺を見殺しにする気か!そうはさせんぞ!せめて道連れにいぃぃ・・・!」
「亡者じゃねぇんだからせめてもう少し人っぽい声を出せ!」
そろりそろりと逃げようとした古城のパーカーのフードをがっしり掴んで血走った目でこちらを見る様は本当に亡者っぽい。
「フハハハハハ??捕まえたぞ!これで貴様の遅刻と死はは確定した!」
「演技でも無ェこと叫ぶんじゃねぇよ!あと離せ!」
「この私が離すとでも思ったか??甘いわァ??」
「アインさん!キャラ崩壊が激しいです!」
〜十分後〜
「すまない、取り乱した」
「あれを取り乱したで片付けるお前の胆力に驚くわ・・・」
現在地、マンション前
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