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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十七話 クーデター計画
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を向けるとドアが開き、アンスバッハが済まなさそうな顔をして立っていた。
「御要談中の所を申し訳ありません。陛下がお見えになりました、リヒテンラーデ侯も御一緒です」
リッテンハイム侯と顔を見合わせた。侯が不満そうな顔をしている。話を中断されるのが面白くないのだろう。
「我らはもう少しここで話している。適当に繕っていてくれ」
「……承知しました」
アンスバッハが何か言いかけたが、一礼しドアを閉めた。リッテンハイム侯が何処か面白がるような表情をしている。
「よろしいのかな、ブラウンシュバイク公。屋敷の主が陛下を御出迎えせぬとは……。不敬罪を問われかねぬが」
「構わんよ。あの老人の所為でえらい迷惑だ。少しぐらい嫌がらせをしたからと言ってなんだというのだ。それより、侯と話さねばならんことが有る。こちらの方が大事だ」
リッテンハイム侯の顔が引き締まった。ここからが本番だ。
「遠征が取りやめとなれば、もっと厄介な事が起きるかもしれん」
「?」
「オフレッサーがクーデター紛いの事をする可能性が有る」
「……」
リッテンハイム侯の顔が蒼褪めた。
「イゼルローン要塞に六万隻の艦隊が集まる。指揮官達は皆兵の士気の低下を危ぶんでいるのだ。士気を回復し軍を維持するには改革を実行するしかない。それを実施しようとしない政府、貴族達に不満を持っている」
「……しかし、だからと言ってクーデターなど……」
リッテンハイム侯が肘掛を強く握っている。震えを帯びた声だ。
「戦場に出て戦うのは彼らだ。戦っている最中に兵達が逃亡したらどうなる? 逃亡ならまだ良い、反乱を起こしたら……」
「……」
「碌に戦うことも出来ずに死ぬことになる。最前線の指揮官達はそれを恐れているのだ。改革の実施を求めてイゼルローンからオーディンへ進軍する。改革のために戦うとなれば兵は従うだろう、貴族達が敵対するかもしれんが反乱軍と戦うより勝算はある」
「……勝算と言っても貴族達は二十万隻は動かす、三倍以上の敵を相手に勝てると考えているのか」
呆れた様な声と表情だ。
「オフレッサーは装甲擲弾兵総監だ。部隊を動かしてオーディンを制圧すればどうだ。貴族達の身柄を拘束すれば動かせる兵力はぐんと減る」
リッテンハイム侯が呻いた。額には汗が浮いている。わしの掌も汗で濡れている。おそらく侯も同様だろう。
「それに、我らがそこに加わればどうだ。兵力は十万隻を超えるだろう。それでも勝算は無いかな?」
気が付けば囁くような声になっていた。喉がひりつく様に渇く、グラスを一息に呷った。リッテンハイム侯も同様だ。グラスが二つ、空になった。ワインを注ぐ。味など分からなかったが喉の渇きは止まった。
「まさか、ブラウンシュバイク公、……公は、……」
「フェルナーがミュラー
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