第十二話 港においてその二
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「もうどんなものでも斬れるんだよ」
「おお、そんなにか」
「鋼なんてものじゃなくてな」
「魔法が入ってるみたいにな」
「そのレベルでだよ」
まさにというのだ。
「凄く斬れてな」
「楽に冒険が出来てるか」
「だから今まで生きていられるんだよ」
この物騒な島でというのだ。
「本当に剣様々だよ」
「それは何よりだな、ただな」
「ただ?」
「兄ちゃん剣だけじゃないぜ」
冒険はとだ、店の親父は久志に笑ってこう言ってきた。
「馬に驢馬、それに防具にな」
「どれもだな」
「あと食いものな」
それもというのだ。
「全部必要だぜ」
「それで特にだよな」
「わかるよな、俺の言うことが」
「果物も、だよな」
久志は笑って親父に返した。
「つまりは」
「ああ、わかるか」
「俺もここまで冒険してきたからな」
久志と共にだ、ここで言ったのだった。
「それもわかるぜ」
「それは何よりだな」
「だからな」
親父が言いたいことを察して言うのだった。
「果物他に貰おうか」
「よし、そうこなくっちゃな」
親父は笑ってまた言った。
「兄さんわかってるな」
「果物も食わないとな」
「さもないと身体が悪くなるからな」
それでとだ、だ。久志は言うのだった。
「果物も貰うぜ」
「そうさせてもらうな」
「じゃあ林檎とな」
久志は今度は店の商品を見つつ言った、見れば色々な種類の果物が置かれている。
「オレンジも貰うか」
「それもかい」
「ああ、あとライムを幾つかな」
「ライムをねえ」
親父は久志の注文を聞いて笑って応えた。
「兄ちゃんやっぱりわかってるね」
「さっきも言ったろ、だからだよ」
「これまで生きていられたんだな」
「そうだよ」
久志は笑って答えた。
「だからなんだよ」
「食いもののことも頭に入れてるか」
「それで生きてこられたんだよ」
「その通りだ、じゃあな」
「ああ、頼むな」
その注文をしたものをというのだ、そして実際にだった。
久志は林檎にオレンジ、数個のライムを買って店を後にした。その買いものを終えてだった。
親父に教えてもらったキリスト教の教会に行った。そこは彼が英雄と共にこの世界で最初に入ったトール神の教会とは明らかに違っていた。屋根の上にあるのが十字だった。それが何よりの証だった。
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