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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第三の牙
第四話 父さん
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 俺は、オルガとミカヅキが大嫌いだった。
 あの気に食わねぇ目付きとムカつく態度。初めて会った時なんて、そりゃあもめたもんだ。
 俺は、あのクソ生意気なオルガが大嫌いだ。
 あと、そのオルガに付いていくミカヅキも大嫌いだ。
 なんでも、出来るように威勢を張ってそれなりの結果を出すオルガが……嫌いだ。スゲェ恰好良く見えて、俺もあんな風になりたい。そう思った俺が────嫌いだ。
 オルガの言う事は聴いて、俺の言うことには耳も傾けない。そんなミカヅキの事が嫌いだ。
 オルガの指示を完璧にこなして、俺が出来ないことを平然とやって退ける。スゲェ恰好良く見えて、俺もあんな風になりたい。そう思ってしまう俺が────嫌いだ。
 どっちも大嫌いだ。
 なんで、アイツらはあんなに出来るんだ。なんで、俺は何にも出来ねぇんだ。
 そう、自問自答して前を向いて後ろを向いても解らない。
 俺には、何にもねぇ。オルガみてぇな行動力もミカヅキみてぇなモビルスーツの操縦も出来ねぇ。俺もアイツらみてぇに出来る男になりたい。
 なんでも一人で出来てなんでもやって退ける……そんな男になりたい。
 あのクソ野郎どもをあっと言わせる。そんな男になりてぇ!
 努力した。
 でも、アイツらはどんどん先に行って見えなくなっちまう。
 俺も前に進んでいるはずなのに。
 俺が、一歩進む間にアイツらは十歩以上進んでいる、そんな気がした。実際そうなんだろう。アイツらバケモンだ。俺がいくら努力したって追いつけないし追いつかない。
 努力は人を裏切らないって言うが、そんなの出来る奴の言葉だ。俺みてぇに出来ねぇ奴がいくら努力したって無駄なもんだ。
 なのに────なんで、俺は。
 あの頃の俺は若かった。
 いつか、あのでっかい差を埋めようと必死に努力していた。無駄な努力、時間の無駄ってのはテメェがよくわかってる。でも、それでも俺は走り続けた。
 その頃の俺は解っていた。
 いくら走り続けても、俺はアイツみたいにはなれない。そんなのは分かってた。なら、アイツらに無いものを俺は磨くんだ。オルガ、ミカヅキが持ってない何かで俺はアイツらに勝つんだ。
 んんで、努力しまくって今の俺だ。
 結局、今の俺で勝てるものと言えば歳と立場くらい。そんだけだ。
 オルガ、ミカヅキ。
 俺はテメェらに少しは追い付けたか?
 そう言ったら、アイツらはこう返してくる。絶対に確実に鼻で笑ってな。
 
 「ユージン……だから、お前はユージンなんだよ」 
 
 うるせぇ。テメェに言われる筋合いはねぇ!
 で、俺も笑って奴らに言ってやる。
 
 「いつか、テメェらよりも偉くなって顎で使ってやるから覚悟しやがれ!」
 
 自信満々の笑みで、何の根拠も無しに俺は言ってやる。
 死んだこと
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