441部分:第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその十一
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第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその十一
「雪さん、刹那というのは」
「その常世の者です」
まずはこう答える雪だった。
「元は戦乱で死んだ赤子に常世の思念が取り憑いたもののようです」
「?では常世というのは」
「この世とは違う世界ですね」
孔明と鳳統はこのことにも気付いた。
「そしてどうやらその世界は」
「冥界やそうした世界ですね」
「そうです、まさにそうした世界です」
雪は二人のその言葉に頷いて答えた。
「その世界は」
「ううん、じゃあその刹那という人は」
「この世界と常世をつなげるつもりですね」
「はい、その通りです」
雪は二人のその危惧にその通りだと返した。
「それが常世の狙いなのです」
「はわわ、それって恐ろしいことですよ」
「ええ。そんなことになったら」
二人は雪の言葉を完全に理解してだ。顔を青くさせた。そうして誰が見てもすぐに狼狽とわかる有様でだ。こう言うのであった。
「この世界は破滅しますよ」
「死んだ人達がどんどん出て来て」
「おそらくそれだけではあるまい」
ここでまた言う守矢だった。
「刹那だけではない」
「ということは」
「他にも」
「いるだろう。私達はその多くの存在と戦う為にこの世界に来たのだ」
これが彼の考えだった。
「それでなのだ」
「そして劉備殿」
「はい」
今度は雪だった。彼女が劉備に声をかけるのだった。
劉備もそれに応える。そしてその話を聞く。
「この世界自体もです」
「この世界も?」
「大きな危機が訪れようとしています」
こう彼女に話すのだった。
「そしてそれにです」
「それに」
「貴女は大きく関わるでしょう」
こう劉備に話す。
「そして。貴女はその危機からこの世界を救い」
「私がですか」
「そうです、そのうえでこの世界を導かれます」
「そんな、私ただの蓆売りですよ」
「今はそうでもです」
それでもだというのだ。
「貴女はやがてそうされるでしょう」
「何かお話がわからないんですけれど」
「今はおわかりになられなくともやがては」
「そうなんですか」
「はい、それでなのですが」
態度があらたまってだ。そうしてであった。
「私は。貴女と共にこの世界で戦わせて頂きます」
「はい、宜しく御願いします」
劉備はこのことは笑顔で迎え入れたのだった。
「ではこの旅もですね」
「劉備殿さえよければ。先程もそうお話しましたが」
「あらためて御願いします」
劉備はにこりと笑っていた。
「多い方が楽しいですから」
「はい、それじゃあ」
こうしてだった。雪も劉備達と行動を共にすることになった。そして守矢は。
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