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エターナルユースの妖精王
ルーシィVSエバルー公爵
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のか胸元が大きく開いたシャツに、左右に引っ張りすぎて今にも破れそうなフリル付きのエプロン。ピンク色のツインテールに、見上げてもちらりとしか見えない頭にはヘッドドレス。
その姿に、ルーシィは見覚えがあった。

「お呼びでしょうか?御主人様」
「バルゴ!!!その本を奪えっ!!!!」

重量のある音を響かせて着地したその星霊は、巨大なメイド。
屋敷を訪れたルーシィを最初に出迎え、屋敷に潜入した彼等に奇襲を仕掛けてナツに蹴り飛ばされていた、あのメイドだった。

「コイツ……星霊だったの!!?」
「エビ」
《おいおい、嘘だろ……》

目を見開いたルーシィの隣、パーシヴァルが呟く。ちらりと見えたその顔は困惑しつつも薄く笑っていて、更に視線はバルゴと呼ばれたメイドを見るにはやや上。何もないはずの位置、バルゴの頭上に、縫い付けられたように視線を固定させていて。

「あっ!!!」
「あ!!!!」
「あ!!!!?」

妙だと思いながらつられるように目線を上げて、気づく。同じように気づいたらしいハッピーとエバルーが声を上げて、ただ一人、パーシヴァルだけが愉快そうに笑みを深めていた。
バルゴの上。煙が晴れてはっきりと見えるそこに、見知った姿が二つ。

「――――ナツ!!ニア!!」
「お!!?」
「何だここ、臭っ…無理……」

白いマフラーが靡く。紺色のフードがふわりと外れる。
書斎で別れたはずのナツとニアが、宙を舞っていた。

「何故貴様がバルゴと!!!」
「あんた達……どうやって……!!?」

どういう訳か、何が起きたのか。訳が解らないまま問えば、困惑しきったナツの声が返って来る。

「どう…って、コイツが動き出したから後つけてきたらいきなり…訳解んね―――!!!」
「“つけて”っていうか……“掴んで”でしょ!!!」
「……」
《…え、アーサー生きてる!!?臭いでやられて死んだりしてないよな!!?アーサー返事っ、何でもいいからちょっと喋ってくれないかなあ!!?》

本人も現状をよく解っていないようで、それでもその右手はバルゴの服の首裏辺りをしっかり掴んでいて、見る限りどうやらバルゴと一緒にここに召喚されたらしい。こういった時に持ち前の冷静さで役に立ちそうなニアは下水道に充満する臭いで早くもやられたのか無言で、パーシヴァルが焦り声を上げた。
…らしい、が、解らない。現状を見て出せる結論はこれ以外ないのに、理解が追い付かない。

「まさか……人間が星霊界を通過してきたっていうの!!?ありえないって!!!!」

普通であれば、生身の人間は星霊界を通過出来ないはずなのだ。呼吸が出来ず、通り抜けるよりも早く死んでしまうはず。いくらナツが頑丈であろうが滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であろうが、それは変わ
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