ルーシィVSエバルー公爵
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資格なし!!!!」
左手に持ったままだった鍵の束。その中から一つを選び、魔力を込める。鍵の先端から生まれた鍵穴が広がり、光を放つ。
「開け!!!巨蟹宮の扉……キャンサー!!!!」
名を呼び、鍵を向けた先。ルーシィを守るように前方に立つのは、背を丸めた細身の男だった。
水色のストライプシャツとスキニーパンツを纏い、腰のベルトには鋏や櫛を取り出しやすく仕舞ったポーチ。蟹のハサミのようなシルエットのヘアスタイルに、背中から生えているのか飾りなのか、蟹の足が左右それぞれ三本ずつ。両手に鋏を構え、サングラスをかけたその星霊を見たエバルーが目を見開き、
「蟹キタ―――――!!!絶対語尾に「〜カニ」つけるよ!!!間違いないよね!!!カニだもんね!!!オイラ知ってるよ、“お約束”って言うんだ!!」
「集中したいの…黙んないと肉球つねるわよ」
《…蟹……》
「…あの、パーシヴァルさん?何そんな「美味しそう…」みたいな顔でキャンサー見てるんですか!!?美味しくないですから!!!そもそも食べられませんから!!!」
《い、いやっ、俺が食べるんじゃないから!!!アイツ食細い割に、蟹が出ると結構食べてたなあって思っただけだし!!!いつも隣でベディが身をほぐしてやってたなあって思っただけだから!!!べ、別にあの足もいで持ってこうかなーなんてこれっぽっちも……うん…》
「ちょっとお!!?」
やけにテンションの高いハッピーが目を輝かせ、パーシヴァルがキャンサー(の背中の蟹の足)をじ――っと見つめていた。咄嗟に彼の視界を遮るように立つと、両手をわたわたと振りながら必死に弁明を始める。が、最後には気まずそうに目を逸らした。というかニアは自分で身をほぐしたりはしないのか。いや、どこか箱入り感の漂うあの男の事だから、大して意外だとは思わないのだが。
…にしても、あのニアに好物と言える食べ物があるとは思わなかった。かつて昼食にしようと入ったレストランで「動力として必要最低限の栄養が取れるなら何でもいい」と表情一つ変えず淡々と言い放ち、注文を取りに来たウエイトレス(とルーシィ)を絶句させた事もあるというのに。
「ルーシィ…」
と、密かに驚いていたルーシィの意識を引っ張り戻すように、ぼそりとキャンサーが声を発した。低い声が静かに名を呼んで、顔の半分だけをこちらに向ける。
「今日はどんな髪型にするエビ?」
「空気読んでくれるかしら!!?」
「エビ―――――!!!?」
《海老…》
「いやだからちょっと!!?」
鋏を持ち上げながらの問いかけに思わず叫ぶ。予想外の語尾にハッピーも叫び、パーシヴァルがごくりと唾を呑み込んだ。一度は外した視線を蟹の足に再度集中させる彼の手が怪しく動くのを慌てて止めつつ、いやまあ確かに彼を呼ぶのはヘアスタイルを
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