ルーシィVSエバルー公爵
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は七割くらいしかなかったし、何も考えずに思った事をそのまま言っただけだから大丈…夫ではないかもしれないけど、危なそうだったら手ぇ貸すから!!》
「ちょっ……」
ぐっと親指を立てるパーシヴァルに文句を言おうとして、止まる。視界の隅に映った飛び出すエバルーの姿に慌てて後方に跳ぶと、つい数秒前まで立っていた位置をエバルーが通り抜けた。
向かいのパーシヴァルが更に後方に跳び、さっとその場にしゃがみ込む。と同時に壁から腕が伸び、空を掴んだ。それからすぐに現れたエバルーの顔は顰められている。どうやら彼の足を掴もうとしていたらしく、気づいたパーシヴァルが眉を寄せた。
《土潜か。こういうのはモルガン辺りの方が得意分野なんだけどなあ……》
「土潜?」
《読んで字の如く、だよ。とりあえずコイツ魔導士、おっけー?》
右親指と人差し指で丸を作る彼に頷く。
「解ったから何だ?貴様等程度に、我輩の土潜は破れんぞ!!」
得意気に笑うエバルーが両手を上げて地面に潜る。立ち上がったパーシヴァルが地を蹴って、対岸へと跳んだ。
その彼が着地するのとほぼ同時に、ルーシィの足元からエバルーが突き出る。床を割り、拳を突き上げたその一撃を後ろに跳んで避け、右手に本をしっかり持ったまま、口を開く。
「この本に書いてあったわ。内容はエバルーが主人公の、ひっどい冒険小説だったの」
「何だそれ!!?」
「我輩が主人公なのは素晴らしい。しかし内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせにこんな駄作を書きおって!!けしからんわあっ!!!」
本を掴むように両手をぱんと合わせる。両拳を握り突き上げる。頭を下に蹴りを繰り出す。地面に潜っては飛び出すのを繰り返しながら、エバルーはルーシィを追い詰めていく。穴だらけになった床から下水が通る道に出て、後方に跳ぶ事で回避してきたルーシィの背中が、がしゃんと音を立ててフェンスにぶつかった。
「無理矢理書かせたくせに、なんて偉そうなの!!?」
空いた左手でフェンスを掴む。こちらに跳ぼうかと足元に力を込めるパーシヴァルを目で制すると、伝わったのか彼が半歩後ろに引いた。
「偉そう?」
弾丸のようにエバルーが飛び出した。フェンスを掴んだ左手を軸に、ルーシィが地を蹴る。飛び出した勢いのままエバルーはフェンスを突き破り、ぎりぎりで手を離したルーシィの体が高く宙を舞う。
「我輩は偉いのじゃ!!!その我輩の本を書けるなど、ものすごく光栄な事なのじゃぞ!!」
「脅迫して書かせたんじゃないっ!!!」
「脅迫?」
壊れたフェンスが投げ捨てられる。振り返ったエバルーは、髭を軽く引っ張りながら口角を吊り上げた。
「それが何か?書かぬと言う方が悪いに決まっておる!!!」
「何それ…
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