ルーシィVSエバルー公爵
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な顔をして、それから何かに気づいたのか、柔らかく微笑んだ。
《ああ、そういや俺とは初対面だっけ?大体の事はランスで片付くし、そもそもア…イツ、嬢ちゃんの前で俺達を喚びたがらないからなあ》
「…?」
《ま、細かい事はどうでもいいか。―――俺はパーシヴァル。ランスの同僚って覚えてくれてれば、とりあえずは十分。もうちょいいけそうなら、円卓騎士団団長の護衛にして忠義の騎士、とでも付け足してもらおっかなー》
「え、えっと?」
《あ、ランスってのはアイツな。ほら、あの超絶美形。ザ・騎士、みたいな奴。会った事あるだろ?》
ランスロット、の事だろうか。確かに彼は不思議な魅力を放つ美形で、その出で立ちはお伽話に出てくる騎士のイメージ像そのもののようではあるが。奴隷船で静かに猛威を振るっていた姿を思い出す。
と、背後から何かが崩れるような音がした。はっとして振り返ると、左腕を押さえたエバルーが、忌々しそうに対岸を見据えている。
「おのれ……何だ、貴様等は!!」
《えー…自己紹介はさっき済ませたんだけどぉ?この短時間に同じこと繰り返させるなよ丸ボタン野郎。つーかお前みたいな骨折未遂野郎にわざわざもう一回とか面倒だし端折っていいかな?いいよな?うん、いいって事で!!》
「き…貴様あ!!!」
ルーシィに向けていたのと同じにっこり笑顔でパーシヴァルが言う。悪意があっての発言なのか、それとも本心をただ並べているだけなのか、判断に困る声色で。そしてエバルーへの呼称のレパートリーが多すぎやしないだろうか。そりゃあ確かにエバルーのスーツには大きな丸ボタンが一つついているし、ルーシィの腕を折ろうともしていたが。
《いいかな?》と首を傾げ、《いいよな?》とまた反対側に傾げ、最後に輝くばかりの笑みを浮かべた彼の言葉に、エバルーが唾を飛ばしつつ叫ぶ。それに顔を顰めたパーシヴァルは、顔の前で手をひらひらと振ってから口を開いた。
《距離あるからって唾飛ばすなよ傲慢ダルマ。アイツ結構綺麗好きなんだからさあ、近づいて嫌がられたらどうしてくれんの?静かに半歩分引かれたら、お前どう責任とってくれる訳?それじゃあ俺、アイツの役に立てないじゃん》
今度は敵意剥き出しだった。冷め切った、見下すような目をしていた。
これ以上やるならぶん殴るぞこの野郎。ついでにその髭と少ない髪の毛、ガムテープで毟ってやろうかああん?なんて副音声が聞こえてきそうなレベルだった。何かどう彼の怒りに触れたのかはいまいちよく解らないが、ご立腹である。ぴんと空気が張りつめて、ほんの一瞬、呼吸を忘れかける。
……が、それも長くは続かなかった。彼が短く鋭く息を吐いたのを合図に、正体不明の圧を持っていた空気が和らぐ。数度瞬きを繰り返した彼の顔に温度が戻り、何の感情も浮かべていなかった唇に笑みが浮かぶ
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