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エターナルユースの妖精王
魔導士の弱点
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した平鍋を、彼目がけて――――

「ああ…そういう事か」

何かに納得したように、ニアが呟いた。
その声が耳に届いたのと、ほぼ同時に。



「魔術式構築、展開。簡易使用を認証。―――封・光明束ねる王の剣(エクスカリバー)



左腕、二の腕の位置。
そこを起点に、全身を激痛が駆け抜けた。








「がっ……!!?」

――――痛い。
痛い。痛い痛い痛い痛い!!!!
ただそれだけに脳が埋め尽くされる。あまりの痛みに悲鳴も上げられない。
手から柄が滑り落ちる。音を立てて、平鍋が床に落ちる。左腕から血が飛び散り、飛んだそれが頬を濡らす。先に落ちていた弟の上に、おぼろげな意識を薄く保ったまま落下する。
閉じかけた目に、彼が映る。変わらず手すりに腰かけて、右親指と人差し指をそれぞれぴんと立てて拳銃に見立てて、伸ばした人差し指を真っ直ぐこちらに向けて。

「三度目のなんとやら、だ。一撃くらい、相手してやらんでもない」

そんな事を、変わらない瞳のまま言った。









「……こんなところか」

天を見上げる。ばさりとフードが外れて、体がぐらりと傾く。落ちないように腕に力を込めて体を支え、ぶらぶらと足を揺らした。
何もしないはずだったのに三度も戦いを挑まれたものだから、思わずそれに応えてしまった。まあこれの対応にナツは間に合わないし正当防衛という事で、なんて誰に対してかも解らない言い訳をして、誰かを喚ぶのも億劫で、思わず。
見たところ周囲への被害はない。コントロールは上手くいったらしい。久しぶりに使うものだから少しの不安はあったが、腕は衰えていなさそうだ。

「おーい、ニアー!!」
「んー?…ああ」

下からナツに呼ばれ、右手を軽く振る。ひょいと手すりから降りて危なげなく着地すると、笑みを浮かべたナツが駆け寄って来た。

「凄えな、今の!!光がばーっと!!!あんな魔法見た事ねえよ!!」
「……まあ、珍しい魔法だからな」
「へー…」

眩い光の束、逸れる事なく一点を狙う剣。かつて彼ではないマーリンと彼女ではないモルガンが編み出したとされる、円卓騎士団に語り受け継がれる魔法。その中の、騎士団長にのみ継がれる、伝説上の聖剣の名を持つ術。ナツが珍しがるのも当然だ。今ではもう、使えるのはニア一人だけだろう。ニアにこれを教えた前任も、その前もそのまた前も、もうこの世にはいないのだから。
興奮冷めやらぬといった様子のナツに適当に返しながら、「それで」と話を切り替える。あまりこの話題を長引かせたくはない。

「アイツを追わなくていいのか?」
「あ、そうだった!!ニアはどうすんだ?」
「…とりあえず、パーシヴァルと合流しておきたい。結果的にアイ
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