魔導士の弱点
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た。その面に立っていた弟は高く打ち上げられ、反射的にナツはそれを目で追う。
「天を向いたら」
それが、向こうの狙いだった。
「地にいる!!!」
「ごあっ!!!」
ナツが上を向いたその瞬間、地上にいた兄の方が駆けた。距離を詰め、ナツの視界外から一撃を叩き込む。
意識を上に向けていたナツは避け切れず、顔面にその一撃を喰らってしまう。大きく体を吹き飛ばされながらも体勢を立て直して、今度は兄の方を見据え―――けれど、天地消滅殺法は終わらない。
「地を向いたら、天にいる!!!」
「ふぼっ!!!」
打ち上げられ、重力に逆らう事なく落ちて来た弟。頭を下に落下しながら、伸ばした手でナツを掴んで力強く床に叩き付ける。全体重をかけた一撃に床が割れ、ナツの顔がその中にめり込む。
「相手の視界から味方を消し……敵は必ず消し去る」
「これぞバニッシュブラザーズ合体技、天地消滅殺法!!!!」
相手に速度があろうが、避けられなければ関係ない。その場に縫い止めるようなこの合体技で倒れなかった相手など、今まで誰一人としていないのだ。
一つ問題があるとすれば、一人しか相手に出来なかった事だろうか。とはいえ、地上にいる兄はまだしも、空中から攻撃する弟に二人纏めて捕捉しろとは難しい話。残った一人は態度だけは大きそうな半人前なのだから、ニ対一にさえしてしまえばこちらのものだ、と。
「これを喰らって生きてた奴は……いな……」
「ああ、だからバニッシュブラザーズなのか。道理で」
一切の崩れのないポーカーフェイスを見るまでは、思っていた。
「な…」
「いつの時代、どこの国発祥だったかな…すぐ隣の縦か横に別の玉があり、その一つ先に空きがある場合に玉は移動出来る。飛び越された玉は消えて、最後に一つだけ玉を残す。そういうパズルだろ?バニッシュって。ペグ・ソリティアのアレンジで、そのペグ・ソリティアは玉じゃなくて穴の開いた盤に杭を挿して遊ぶものなんだが」
因みにペグは杭の意だな、なんて締め括るニアは、平然としていた。天地消滅殺法の軌道から外れた位置で、目の前で仲間がやられているというのに、顔色一つ変えないままで。味方がやられた、だからどうしたと言わんばかりに。あまりにも様子が変わらないものだから、いっそ不気味さすら感じてしまうほどに、平然と。
「き、貴様…」
「ん?…ああ、何を平然としてるんだ、とでも聞きたいのか?」
声が震える。それに対しても、彼は一切顔色を変えなかった。こちらの思考を読んだように問いかけて、腕を組んで首を傾げ、「そりゃあ」と呟く。
「オレが動く必要は、まだないからな」
その時、その言葉を待っていたかのようなタイミングで。
床に顔を
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