強欲探偵の弱点
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みは俺がやる、表は任せたぞ筋肉ダルマ」
インヴェスは依頼を受けるとは言ったが、使える労力は余す事無く使うつもりだった。表でも裏でも悪名高いインヴェスが聞き込みや捜査をするよりも、実績も人望もあるハリーに任せた方が効率がいい、との判断だった。奇しくもその点に関してはハリーも意見の一致を見た。
「しかし、嗅ぎ回っている事を敵が気付いているかもしれん。2人同時に動くのは得策ではないだろう」
「そうだな……じゃあハリー、お前先に聞き込み行ってこい。ミーアちゃんは俺が護っとくからよ」
そう言ってミーアを抱き寄せるインヴェス。チャンスがあらばコマしてしまおうという下心を隠す様子もない。が、当のミーアは気付いていないらしい。
「そうか、ならついでにここに置いといて預かって貰うとするか」
そう言ってハリーが取り出したのは、籐で編まれた籠のような物。
「これ何です?ハリーさん」
「これか?インヴェス除けだ。俺が部屋を出たら籠の中身を出してやってくれ」
ハリーの言葉にサッと青褪めるインヴェス。その様子を確かめてからハリーはニヤリと笑い、部屋を後にした。ミーアは言われた通り、籠の蓋を開けると、奥の方で丸まってスヤスヤと寝息を立てる1匹のチワワが入っていた。
「キャー!可愛い!」
やはりそこは女の子、ミーアはそのチワワの愛くるしい姿に顔が弛み、ニヨニヨと笑っている。しかしインヴェスはソファから後退り、少しでも犬から離れようと必死である。
「どうしたんです?インヴェスさん。すっごく可愛いですよこの子!」
「う……うるせぇ!俺様にそいつを近付けるんじゃねぇ!」
青くなった顔で追い払おうと、シッシッと手を振るっているインヴェス。その騒がしさで目を覚ましたのか、ミーアに抱かれていたチワワが目を開けた。周囲を見回し、見覚えのある顔であるインヴェスを見つけて遊んでもらおうと近付いていったのだ。そして、怯えるインヴェスに一声吠えたら、チビりそうな程の絶叫を挙げてしまったというワケだ。
「ん?何かしらこれ……」
ミーアが気付いたのは、籠に挟んであった1枚のメモ用紙。そこにはハリーからミーアに宛てたメッセージが記されていた。
『ミーアちゃんへ
恐らくインヴェスが大騒ぎして面喰らっていると思うが安心してくれ。アイツは極度に犬を恐れている。それこそ、自分に害を及ぼさないであろう小型犬にさえ恐れを抱くレベルだ。
そこで、君とインヴェスを2人きりにするのは危険だと判断して俺の愛犬を連れてきた。名前はクッキーちゃんだ、可愛いだろ?俺が帰ってくるまで面倒を見ていてもらいたい。クッキーちゃんが居ればインヴェスも大人しくしている事だろう。すぐには戻れないと思うが、大人しくしていてくれ。
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