440部分:第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその十
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第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその十
「人は多い方が楽しいですね」
「そうですか。それでは」
「決まりだな。では私はだ」
「兄さんはどうするの?」
「私は今から幽州に行く」
そうするというのだった。
「その桃家荘に向かう」
「そうするのね」
「そうだ。それで御前はどうするのだ」
「私は。劉備さん達と」
その劉備達の顔を見てだった。そうしてである。
「共に」
「そうか。ならそうするといい」
「ええ」
「そしてだ。私はだ」
「私を止めるというのね」
「その時が来てもだ。もう御前が犠牲になることはない」
だからだというのだった。
「わかったな」
「それはわからない。けれど」
「それでもか」
「この世界も。救わないといけないから」
思い詰めた顔になって俯いてであった。
「だから私は」
「しかし私もいる」
今は止めなかった。かわりにこう言うだけだった。
「それは忘れるな」
「ええ、有り難う兄さん」
「御前に兄らしいことはしてやれなかった」
雪から顔を離してそれで空を見上げての言葉だった。
「だがこれからはだ」
「違うのね」
「私は御前の兄だ」
こう言うのであった。
「それならばだ。当然のことだ」
「有り難う」
雪はその兄に礼を告げた。
「けれど兄さん」
「何だ?」
「楓は」
「あいつか」
「楓も同じなのね」
こう兄に問うのだった。
「そうなのね」
「そうだな。そして私達もだ」
「そうね。この世界でも」
「それは覚悟のうえだ。だからこそここに来たのだろうな」
「だからこそなのね」
「誰が私達をこの世界に呼び寄せたのか」
守矢はこのことも考えた。
「それが気になるが」
「そういえばそうですよね」
「確かに」
ここで孔明と鳳統が気付いた。
「皆さんどうしてこの世界に」
「偶然来られたというのもおかしいですし」
「そうよね、だとしたらやっぱり」
「誰かが皆さんをこの世界に」
「目的があってそれで」
「そしてその目的とは」
二人は考えていく。しかしだった。
答えが出ずにだ。それでまたそれぞれ言うのだった。
「皆さんは悪い方ではないですし」
「むしろ。正しい力と御心を持っておられます」
そこから考えるとだった。
「何かを止める為に呼ばれた」
「そうですよね」
「ということは」
「その刹那、常世でしょうか」
「あの、それでなんですけれど」
劉備は二人の言葉を聞いてから雪に問うた。
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