【ネジおじさんの誕生日】
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好きだったんだよ。俺が幼い頃、外食時に父様に連れられて……俺は別な物を食べたが、ほんの少しだけ父様のを食べさせてもらった時は正直、美味しくはなかったかな。父様は、とても美味しそうに食べていたが…。俺にとっては、始めは苦手だったよ。だが……父様が亡くなってから、何年かしばらく経ってふと懐かしくなって、ニシン蕎麦を食べに行ってみたら……幼い頃に思った時より美味しく感じてな。その時から好んで食べるようになったんだ。初めから自分で作ったりもするしな」
ネジは父との思い出を懐かしんで目を細める。
「初めからって……、お店で売ってる蕎麦とニシンの甘露煮じゃなくて?」
「あぁ、もちろん。蕎麦は手打ち、ニシンの甘露煮も自分で作るんだ」
「すげー、さすがネジおじさんだってばさ……」
ヒマワリとボルトは、感心した様子で目を見開く。
「この味が判るようになるのはまだ早いと思って、ボルトとヒマワリには作ってあげた事はないが、一緒に外食しに行った時、俺が頼んだニシン蕎麦をほんの少し食べてみた事があるだろう? その時の二人の微妙な顔はきっと、幼い頃父様のを食べさせてもらった時の俺と同じだったろうな……フフ」
ネジはいつか、二人がニシン蕎麦の美味しさを分かってくれるようになったら、ニシン蕎麦を最初から一緒に作ってボルトとヒマワリと美味しく食べたいという思いを持っていた。
──父ヒザシと、ネジ自身がそうしたかったように。
《終》
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