第53話<お盆休暇>
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参、楽しみデスねぇ」
「お姉さま、それはちょっと違います」
(うん、比叡が正しい)
頼むから金剛、非常識な発言は、墓前では止めてくれよな。ただ比叡がいると、ちょうど良い押さえになる。さすが姉妹。
周りを見渡しながら北上が呟く。
「あいつ、今日は来ないよな」
「分からんな」
正直どちらとも言えない。
その後ろで利根が青葉さんに言う。
「吾輩は、来るほうに賭けるぞ」
「来たら、スクープですね」
山城も呟く。
「お姉さまも……来れたら良かったのに」
本当に艦娘って個性派揃いだよな。ちょっと頭が痛くなってきた。
他の赤城さんや龍田さん、五月雨は大人しい。ホッとする。
祥高さんが声高に叫ぶ。
「はい皆さん! 墓地へ向かいますよ。車が多いので気をつけて……あと住民にも」
最後の一言は謎だが祥高さんが同伴して正解だった。物静かだが彼女の威圧感で艦娘たちにも一発で効いた。
しかし、やっぱり全体的な印象は女子高の遠足だな。
妖精が運転するトラックは路地から表通りへ向かって走り去る。
そして艦娘たちは、ぞろぞろと寺の横から共同墓地へと歩きだす。
今日参加している艦娘たちは、ほとんどが自前の無線機や地図システムを持っているから事前にインプットされた私の母方の墓地を目指して迷わず進んでいく。
お盆には不釣合いの艦娘たちの行列。かろうじて私が提督の服装であり若干名、セーラー服や軍服の艦娘が居るから何とか海軍らしいと分かる程度だ。
私は寛代と並んで艦娘たちの行列の最後尾から付いて行く。この異様な艦娘集団の最後尾なら、もし地元の退役軍人と出会ったとしても前回のように何度も敬礼を受けなくて済みそうだ。
ただ家族連れが多い墓地の人たちは私たちを見て軒並み引いている。
でもそれもまた楽しかったりする。青葉さんは盛んにシャッターを切っている。悪く言えばバカ殿の行列だな。
ふと寛代が私を見上げたので思わず言った。
「どうせ軍人なんて皆、バカ者だ」
「あ、それ賛成です!」
「そうじゃのう、我輩も否定はせぬぞ」
青葉さんと利根か。お前たちに同意されても嬉しくないな。
だいたい、お前たちこそ物好きの筆頭だな。
「え? 何か言いました?」
ファインダーを覗きながら青葉さんが反応している。
「いや……」
そうこうしているうちに早くも墓前に着いてしまった。
「到着……ですね」
珍しく赤城さんが言う。
「日本の墓地、初めてデス」
「ちょっと、神聖な気持ちになりますね」
金剛と比叡はお互いに額の汗を拭き合っている。
私も思わず帽子を取る。ただでさえ狭い墓地に、この艦娘たちの密度……あぁ、暑苦しい!
さて日向が祥
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