第53話<お盆休暇>
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! ヤメロ!)
運転台には三人しか居ない。
「寛代も(改)になると積極的になるのか?」
私は本人に言ってやる。
その問い掛けに寛代は無言でブイサインを出す。
「やれやれ」
私たちのやり取りを見た日向は微笑んでいる。何だか運転台は和やかな雰囲気だ。
しかし寛代がこの状態なら、あの夕立が、もし改になったら……と思うと冷や汗が出てきた。
さて荷台と運転台は分かれている。ふと気になって振り返ると案の定、後ろでは大騒ぎしていた。
……あ、いや。騒いでるのは金剛と比叡と利根くらい。他は大人しく微妙な艦娘ばかりだった。祥高さんも敢えて今回は注意しないらしい。
私としては墓参前に騒ぐ神経は理解できないが艦娘だから仕方ないか。
軍用トラックは境港の役場を過ぎ共同墓地に近づく。寛代は今のところ何も言わないから敵襲もなさそうだ。今日は道端にも黒い謎の女性も居ない。
墓地に近づくと、さすがに人や車で渋滞してきた。
運転している日向が呟く。
「県外ナンバーだらけですね」
すると寛代。
「こんな田舎で!」
私は苦笑する。
「お盆は帰省してくる人も多いから仕方が無いよ」
日向が言う。
「これ以上入ると、この車が渋滞の原因になりかねません」
「そうだな……よし、ここで全員降車だ」
「分かりました」
彼女は何かを呟くとエンジンを止めた。
後ろの荷台からゾロゾロと居り始める艦娘たち。それを確認しながら日向は懐から妖精を取り出した。
「ハル、頼むぞ」
「オーライ」
彼女は妖精にコードの付いた小さな端末を渡して運転台の下から出ている差込プラグに接続。妖精がその端末を操作するとトラックのエンジンが始動する。
日向は私に言った。
「これが新しいリモコンです」
私も頷く。
「夕張さん、面白がって作っていたな」
「役場の周辺は大きい道路なので大丈夫でしょう」
彼女とやり取りした後、私たちはトラックを降りた。
荷台の周辺には美保の艦娘たちがズラッと勢ぞろいしている。
その格好は賑やかを通り越して仮装行列だ。
全員艤装がないとはいえ金剛や比叡は被り物が眩しい。
(外して来いよ)
赤城さんと寛代、日向も一部、赤色の入った衣装(軍服)だから、とても墓参の格好には見えない。さらに献花を持っているから目立つ。
思わず水木しげるロードの妖怪行列を連想した私だった。
(艦娘たちを妖怪呼ばわりした日には半殺しに遭うだろうが)
実際、周りの墓参の人たちも好奇の目だ。それでも他人の視線は、お構い無しなのが艦娘たちの、たくましいところ。やはり常に戦場と接しているからだろう。逆に「引率」する私の方が恥ずかしい。
「Oh! 墓
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