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ドリトル先生と悩める画家
第十幕その十二
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「今の知識や技術が絶対じゃない」
「それを絶対視してあれは駄目、これは出来ないとかね」
「そんなことばかり言う人はだね」
「駄目」
「進歩がないっていうんだね」
「そしてそうした本を読んでも」
 そうした人が書いた本もというのです。
「面白くないよ」
「やっぱりそうだよね」
「夢を頭から否定しているからね」
「何の生産性もないし」
「読んでもためにならないよね」
「うん、僕が思ったことは」
 先生は感想もお話しました。
「この人は悪い意味で才能があるのかなって思ったよ」
「悪い意味?」
「っていうと?」
「うん、面白くない本を書くね」
 そうした才能がというのです。
「ある人じゃないかなってね」
「いい才能じゃないわね」
「というか無駄な才能じゃない」
「あれは駄目これは出来ないとか言うだけでね」
「面白くない本を書く才能があるって」
「だからその人の本は一冊読んでね」
 そうしてというのです。
「もう読んでないよ」
「読んでも無駄みたいだしね」
「正直その方がいいね」
「というかそんな才能いらないわ」
「無駄なだけじゃない」
「そうしたことに情熱をかけるより」
 それよりもというのです。
「建設的な方に情熱をかけないと」
「駄目だね」
「その人にとってもよくないわね」
「才能も建設的な方に向けないと」
「よくないってことだね」
「誰にとってもよくないよ」
 読む人、関わる人、ご本人にとってもというのです。
「それこそね」
「学問は否定するものじゃなくて」
「可能性を見出すものでね」
「夢を以て行う」
「どうすれば出来るのか」
「そうして考えていくべきものね」
「そうだよ、あらゆる学問がそうなんだよ」 
 それこそというのです。
「僕はずっとそう思ってるよ」
「学問は前に進むものである」
「先生の考えの一つだね」
「否定するよりまずは可能性を考える」
「そうよね」
「うん、可能性はね」 
 それこそというのです。
「まず見出すものなんだよ」
「そうだね」
「じゃあ僕達もその先生と一緒にいてね」
「可能性を見出していくよ」
「あらゆることにね」
「そうしていけばいいよ、じゃあね」
 それならというのでした。
「僕はここでもね」
「動物園の中でもだね」
「学問に励むんだね」
「そうするんだね」
「そうするよ、さて次はね」 
 明るく言う先生でした。
「何処に行こうか」
「まあ何処でもいいんじゃない?」
「先生のお好きな場所にね」
「気が向いたところに行く」
「そうしてもね」
「そうだね、じゃあ今度は」
 先生は皆の言葉を聞いて言いました。
「鳥類のコーナーに行こうかな」
「そっちだね」
「そっちに行くんだね」

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