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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
433部分:第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその三

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第三十五話 守矢、雪を止めんとするのことその三

「小蓮様も孫家の方なのです」
「それでは。遊んでばかりでは」
「ちぇっ、人と会うのとか戦なら大好きなのに」
 孫尚香は廊下を歩きながら口を尖らせる。今はその謁見の間に向かう廊下を進んでいるのである。
「何でそんなのしないといけないのよ」
「政務も忘れてはなりません」
「決してです」
「まあまあ二人共」
 ここで孫策が妹に助け舟を出してきた。
「この話は今はこれでね」
「全く。雪蓮様もですよ」
「もう少し政務も熱心にです」
「わかってるわよ。まあとにかくね」
 自分にも矛先が来たのはかわした。
「今度はどういった相手かしら」
「また剣を使う者です」
「一人は居合というものを使うそうです」
「居合?」
 居合と聞いてだ。孫策の目が興味深そうに動いた。
「面白そうね、それって」
「はい、刀を抜き一気に斬るそうです」
「そういった技だとか」
「やっぱり面白そうね。何はともあれね」
「はい」
「それで、ですね」
「その人材と会いましょう」
 こう話してだった。そうして謁見の間に入った。
 入る時にだ。孫権と会った。
「あっ、姉様」
「こうして姉妹三人揃うのがやっぱり一番いいわね」
「はい」
 孫権は静かな微笑みを浮かべて姉の言葉に応えた。
「確かに」
「そうそう。ちゃんと三姉妹でね」
「共にいるのが一番ですね」
「そうよね。じゃあこれからね」
「人材と会いましょう」
 こうしてだった。三姉妹でその彼等と会う。すぐにだ。
 呂蒙がだ。畏まって彼等を連れてきた。
「案内してきました」
「お疲れ様」
 主の座に座る孫策が優しい声をかける。右に孫権、左に孫尚香がいる。そして主の座の下の階段の終わりにだ。二人の長老がそれぞれ控えている。
 その座にいる孫策はだ。こう彼等に言ってきた。
「それでだけれど」
「ああ」
 中央のだ。精悍な男が応えた。
「何だ」
「居合の使い手がいるそうね」
「私のことだろうか」
 静かな趣の青い長髪の男だ。肌は紙の様に白くやつれた感じである。白い着物に青い袴だ。
「それは」
「貴方は何というのかしら」
「橘右京」
 男はこう名乗った。
「これが私の名前だ」
「そうなの。橘というのね」
「そうだ」
「居合の腕、かなりだそうね」
「自信はある」
「その腕、見せてもらうわ」
 孫策は口元に笑みを浮かべて男に応えた。そうしてだった。
 後の面々にも声をかける。まずはだ。
 先程の中央の男にまた声をかける。癖のある黒髪を後ろで束ね袴である。やはり手には剣がある。

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