第四章
[8]前話
「色気も必要だけれどね」
「それでもなのね」
「あんたは過ぎるんだよ、だからね」
「抑えるのね」
「そうするんだよ、いいね」
「わかったわ」
昔からお祖母ちゃん子である蜜は祖母の言うことなら何でも聞いた、それでこの時も即座にだった。
服装も髪型もメイクも変えた、ズボンに普通の靴に大人しい上着にだ。
ナチュラルメイクに束ねた髪型にした、するとだった。
誰も極端にそそられることはなくなった、それでだった。
教授と助手はあらためてだ、教授の研究室で話した。
「いや、お化粧とか服装が変わると」
「確かに奇麗ですが」
「前みたいなことはないね」
「はい、前は本当に」
「刺激的過ぎてね」
「ただ傍にいるだけでも」
まさにそれだけでというのだ。
「困っていたけれど」
「それがですね」
「抑えられる様になったよ」
「そうですね」
「いや、あれだけの美人さんでも」
「服装や髪型やメイクで」
そうしたものでというのだ。
「とんでもない色気を出したり」
「そうでもなかったりするね」
「はい、前はもう魔女でしたが」
「黒い服が多くてね」
白衣の下はだ。
「余計に危険だったけれど」
「黒はどうにも淫靡さを醸し出すのでえ」
「けれど今はね」
「色は白が多くなって」
白いズボン等だ。
「何かですね」
「大人しいというか」
「聖女ですね」
「そんな感じになったね」
「ですから誰も声をかけなくなりました」
「魔女とが違ってね」
聖女ならというのだ。
「奇麗と思っても」
「神聖な感じがして」
「言い寄らなくなって」
「理性と本能が勝負もしません」
「その通りだよ」
「そう思いますと」
助手は教授に話した。
「同じ女性でも変わりますね」
「全くだ、魔女になれば聖女にもなる」
「そうですよね」
「そう思うと人間は不思議だよ」
「梅田君もそうですね」
「うん、あと彼女は普通によく出来た人だから」
人格も備えていて家庭的でもあってというのだ。
「必ずね」
「よき人を見付けてですね」
「幸せになれるよ」
「色香で惑わすのではなく」
「人格で魅了してね」
そうしてというのだ。
「必ずね」
「幸せになりますね」
「そうなるよ」
教授は今の蜜については笑顔で話した、そして実際にだった。
蜜はこの時結婚を前提としたある人と交際をはじめていた。魔女から聖女になりそうなっていた。
魔女から聖女へ 完
2017・6・28
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ