第三章
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「それで上も」
「上着も」
「薄くて胸とかも出てるけれど」
肩もだ、蜜はそうした上着が好きなのだ。
「それもよ」
「駄目なのね」
「祖父ちゃんに言われたろ」
「ええ、子供の時に」
「大きくなったら魔性の女になるってね」
実際に言われた、子供の頃のまだ幼い蜜は祖父にはっきりと言われてそれがずっと気になっている。
「言われたろ」
「ミニスカートとかそうした上着は」
「駄目なんだよ、人を惑わしたいのかい?」
「いいえ」
真面目な蜜にそんな趣味はない、実は恋愛も奥手だ。だから祖母にもこうはっきりと否定した。
「それは」
「だったらだよ」
「大人しい服にして」
「あと髪の毛もだよ」
今度はその話をしてきた。
「お医者さんならね」
「長く伸ばしたら駄目とか?」
「そこまでは言わないけれど邪魔だろ」
「ええ、それは」
「後ろで束ねるんだよ」
そうしろというのだ。
「それにその髪型も色気があるからだよ」
「駄目なの」
「お化粧も薄く」
それもというのだ。
「もっとね」
「お化粧もなの」
「そんな妖しい感じじゃなくて薄くだよ」
そうしろというのだ。
「お医者さんだしね」
「だからなのね」
「あんたそれでこれまで何もなかったのかい?」
「何もって?」
「だから言い寄られたりだよ」
「別に」
「それは運がよかったからだよ」
それに過ぎなかったというのだ。
「だからね」
「これからは」
「そうだよ、服装もメイクも変えて」
「何かない様に」
「しな、そんな恰好で前にいられたら」
黒のタイトミニに同じ色のガーター、白の胸のところが開いたブラウスに見事な肢体と顔立ちだ。それならというのだ。
「あたしはともかく親戚でもだよ」
「危ないの」
「全く、頭だけじゃなくて色気まで育ち過ぎだよ」
こうまで言うのだった。
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