第三章
[8]前話
「スカウトの話断ったわ」
「そうしたの?」
「折角の話だったのに」
「断ったの」
「そうしたの」
「ええ、私から電話を入れてね」
そのうえでとだ、晴れやかな顔で言うのだった。
「そうしたわ」
「ううん、何でまた」
「断ったの?」
「グラドルとかアクションとかアイドルって言われてたのに」
「それで断るなんて」
「勿体なくない?」
「勿体ないかも知れないけれど」
それでもとだ、奈央は友人達に晴れやかな顔のまま答えた。
「私の夢は決まってるから」
「断るの」
「あそこまで期待されてる感じだったのに」
「それでもなの」
「それでもね」
相手の期待はわかるがというのだ。
「やっぱり私サッカーが好きだし」
「なでしこになりたい」
「それで日本を優勝させたい」
「それで芸能界のお話は断るのね」
「そうするわ」
こう言って実際にだ、奈央は芸能界入りの話は自分から連絡を入れて正式に断った。そうして後はサッカーに専念したが。
夢適いなでしこジャパンに入ったがここでだ。またあのスカウトが来て彼女に言ってきた。
「サッカーはそのままで」
「あの、ですから芸能界は」
「いえ、ですから選手のままで」
こう言うのだった、戸惑いを見せる奈央に対して。
「お願いします」
「選手のままで?」
「それだと余計に宣伝になりますから」
「現役選手だからですか」
「そうです、現役なでしこのグラビアとか」
そうした話になるからだというのだ。
「是非です」
「グラビアですか」
「そうです、どうですか?考えを変えまして」
「前にスカウトしてくれた時とは」
「はい、選手活動はそのままされて」
そのうえでというのだ。
「宜しくお願いします」
「そこまで言われるのなら」
奈央も選手としてはそのままでいいと言われてだ、それで頷いたのだった。
サッカー選手になる夢は適った、そしてそのスタイルを武器にグラビア等の芸能活動も行う様になった。奈央にとっては思わぬ奇貨だった。
目指せなでしこ 完
2017・6・25
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