第二章
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「まさかね」
「そうよね」
「まさかよね」
「本当にね」
「こんなことになるなんて」
「スカウトが来るなんて」
友人達も言うのだった。
「本当にまさかよ」
「確かに奈央ちゃんのスタイルなら、だけれど」
「実際グラドル並だから」
「有り得るわ」
「それはね」
実際にというのだ。だが。
奈央の複雑な顔を見てだ、彼女達は奈央本人に尋ねた。道頓堀の蟹の前を通ってももうそれは目に入らなくなっている。
「奈央ちゃんはどう思ってるの?」
「何か微妙な感じに見えるけれど」
「実際に微妙?」
「そうなの?」
「いや、スカウトされるなんて」
それこそとだ、奈央は友人達に答えた。
「想像もしてなかったから驚いてるの」
「そうなの」
「まあそうよね、本人さんとしては」
「いきなり声かけられたらね」
「普通にそうなるわよね」
「びっくりして」
「だからね」
それでというのだ。
「どうお返事していいか考えてるのよ」
「受けたら?」
「迷ってるのならそうしたら?」
「いっそのことね」
「そうしたら?」
「皆そう言うけれど芸能界とかね」
とてもという返事だった、奈央の今度のそれは。
「いきなり言われても」
「それでもよね」
「困るっていうのね」
「そこは」
「そうよ、芸能界ね」
また言った奈央だった。
「本当にどうしようかしら」
「じっくり考えてくれなんてこと言ってるし」
「そうしてから決めましょう」
「まずはね」
「そうしましょう」
「ええ、考えるわ」
そうすると答えてだ、奈央は気持ちを切り替えてそのうえで友人達と道頓堀で遊ぶのに専念した。
しかし数日の間どうしようかと常に考え悩んでいた、芸能界入りを誘われて悩むのは勘所にしてもだった。
それで考えているとだ、ある日。
部活でサッカーボールを見てだ、ふとだった。
なでしこに行きたい、この気持ちを思い出した。この数日間悩んでいたその思いをだ。それでだった。
奈央は決めた、それで家に帰るとすぐに彼に電話した。
その次の日だ、奈央は友人達に笑顔で話した。
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