427部分:第三十四話 田豊、策を用いるのことその九
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第三十四話 田豊、策を用いるのことその九
「ですがそれでも」
「はい、宦官の出ですので」
「風当たりは強いですわね」
「私は妾の子、華琳は宦官の家の娘」
袁紹は自分自身と曹操のことを話してみせた。
「お陰で幼い頃、いえ今でも何かと言われてますわ」
「それに対し司馬慰殿は名門の嫡流ですね」
「全く隙がありません」
「しかも有能ときてわ」
袁紹にしても曹操にしても己の資質や功績には自信も自負もある。しかしである。この時代では絶対のものを持ち得ないのである。
それがわかっているからこそだ。彼女は今実に忌々しげに語るのだった。
「忌々しいことこの上ありませんわ」
「ではどうされますか」
「司馬慰殿については」
「あの女を超える功績を挙げますわ」
これが袁紹の考えだった。
「四州、それに幽州を加えた五州を治め」
「それと異民族の土地もですね」
「そちらも」
「北の護りを固めますわ」
こう田豊と沮授に話す。
「大将軍の片腕として」
「そしてもう一方の片腕の方も」
「功績を」
「そうなりますわね。とにかく司馬慰の好きにはさせませんわよ」
彼女には強い敵意を見せている袁紹だった。そしてそれを隠せないのはだ。実に彼女らしい状況であると言えた。
北はそんな状況だった。そして南は。
「ここは何処なのだ?」
「また霧が出て来たな」
山道の中で張飛と関羽が話す。一行は白い霧の中に包まれている。
「この展開は好きではないな」
「星、いるのだ?」
「安心しろ、いる」
趙雲の返答が来た。
「一体何を警戒しているのだ」
「そう言ってまたとぼけるのだな」
いささか呆れた口調の関羽だった。
「全く。御主は」
「だから何なのだ」
「まあ本人がいいって言うんならいいじゃない」
馬岱は趙雲の味方だった。
「それで」
「蒲公英は完全に星の妹分になったのだ」
「気のせいだよ、それって」
自分ではこう言う。
「私そういうのないから」
「そうか?最近どう見ても星べったりだよ」
横から馬超が言う。
「全く。二人であたしをからかうからな」
「翠は何かと面白い」
趙雲もこのことを隠さない。
「それにだ」
「それに?」
「愛紗といい。いい身体をしている」
「お、おいちょっと待て」
「私もか!?」
馬超だけでなく関羽も慌てる。
「じゃあ何か。あたしと愛紗をか」
「一緒に、あの、その、あれをというのか」
「私は何も言っていないが」
趙雲だけが悠然と微笑んでいる。
「二人共慌て過ぎだぞ」
「あたしはな。女はその」
「大体まだそういう経験がないしだ」
「あら、二人共まだ生娘なのね」
黄忠がその慌てる二人を見て微笑みを見せる。
「初々しくていいわ」
「ま
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