426部分:第三十四話 田豊、策を用いるのことその八
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第三十四話 田豊、策を用いるのことその八
「とりあえずは」
「左様ですか」
「今はそれだけですか」
「それだけでいいと思いますわ」
あらためて言う袁紹だった。
「では。政務の続きですわね」
「仕事はです」
「次から次にありますので」
二人は言いながら早速その木簡を出してきた。
「さあ、御覧になって下さい」
「サインを御願いしますね」
「四つの州に征服した異民族の土地」
袁紹の治める世界もかなり大きく広くなっているのだ。
「その全てのものですわね」
「はい、ですから」
「サイン御願いしますね」
「仕事をしなければ何も動きはしない」
袁紹は一つの定理を話した。
「そういうことですわね」
「ですから御願いします」
「仕事は追ってきますし」
「あの頃が懐かしいですわ」
ふとだ。幼い時を思い出したのである。
「全く」
「曹操殿とおられた頃ですね」
「確か」
「春蘭達と六人でいつもいましたわ」
彼女達はその頃から一緒だった。長い付き合いなのだ。
「あの頃は国も平和で穏やかでしたし」
「今は大変ですね」
「とんでもない状況ですから」
「全く。漢王朝も揺らいでますし」
「せめて帝がしっかりして下されば」
「これは言ってはならないことですが」
皇室に関することへの発言は禁句である。それでだ。二人もここでは口ごもりを見せていた。
しかしここは洛陽ではない。それで幾分か落ち着いて話されていた。
袁紹も強く咎めずにだ。二人の話を聞いた。
「宦官の跳梁もありますし」
「張譲達が」
「大将軍の邪魔ばかりしてますわね」
「今は司馬慰殿がいますが」
「あの方が大将軍をかなり助けられています」
「できる人物とは聞いてますわ」
しかしであった。袁紹の顔は明るくはない。
その顔でだ。こう言うのであった。
「ただ。気に入りませんわ」
「司馬慰殿はですか」
「どうしても」
「ええ、どうしてもですわ」
その通りだというのである。
「所詮私は妾腹。名門袁家においても除け者でしたわ」
「ですが麗羽様は今では四州の主ですし」
「烏丸や匈奴も下してます」
「その権勢で大将軍を助けています」
「そのことは揺ぎ無いのでは」
「司馬家が相手でもでして?」
袁紹は不機嫌を隠すことなく二人に返した。
「代々清流の家にあり高官を出し続けている名門の。それも嫡流の」
「それは」
「確かにあちらも名門ですが」
「華琳もあの女は嫌っているようですわね」
袁紹はここで曹操の名前も出した。
「どうやら」
「嫌わない筈がありません」
「それは間違いありません」
二人にとっては実に容易に察しがつくことだった。すぐに主に述べた。
「曹操様は宦官の家の出です」
「漢王
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