一つの奇跡
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、ただ……俺は怖かったんだ……」
アスナはライアの予想外の言葉に驚き、黙っていた。
「明日奈……君を目の前で失う事が、怖かったんだ……」
「あお……くん……。」
ライアは顔を伏せ、溜め込んでいたものを吐き出すかのように言い始めた。
「ずっと傍で守りたかった…あの時離れたくなかった、この世界に来てからも本当は……!」
ライアは気がつけば泣いていた。
彼女の傍にいたい、だが自分が傍にいたら再び悪魔の手が自分の大切な者を奪ってしまうかもしれない。
力があっても守れなかった黒猫団の仲間達のように……
彼らは自分を恨んでるかもしれない。
『青の剣士』と隠していた最低な自分を。
──何が『現世の沖田総司』だよ、俺は誰も守れない、失うことしか出来ない、それなら……。
「俺に君を守れる力は無いんだ……誰も守れない……剣術を習っていたはずなのにな……だから、せめて君を失うぐらいなら俺は傍にいな……!?」
ライアの言葉が続かれることは無かった。
何故なら、アスナがライアの唇に自分の唇を重ねていたからだった。
「そんな事無い…君は私を充分守ってくれてる。ううん、私だけじゃないキリトくんや、シノのん、エギルさんにクラインさん、この世界にいる人皆を守ってくれてる…!」
アスナも涙を流しながらライアの顔にそっと手を置く。
「君は、あおくんは充分過ぎるほどに守ってくれてるよ。だから、そんな悲しい事言わないで……!」
──そんな……俺は……あの子さえも……守れて……
「違う……俺は守れてないんだ……黒猫団の皆もユイも救えなかった……!」
ライアは限界だった。
黒猫団を救えなかったこと。
そして、自分が1人の時に出会い自分を『パパ』と呼び目の前にいる彼女は知らないが『ママ』と呼んでいた娘を目の前で失っていた。
「ねぇ、あおくん?」
ライアは声の主に顔を上げる。
「もう1人で溜め込まなくて良いんだよ、私がずっと支えるから傍にいるから……だから……。」
──あぁ……俺は、もしかしたら……。
ライアは自分が今どうしたいのか分かってしまった。
先ほど彼女の行動に驚いたが、同時に安堵も感じた。
──俺は多分……いや、きっと。
ライアは自分に言うように、言った。
「明日奈。」
「はい。」
アスナはリアルの名前を呼ばれたように返事をする。
「……こんなにも弱い俺を支えてくれないか?」
アスナはその言葉の意味が分かったのか、涙を流しながら笑顔で頷いた。
「明日奈、君の事が好きです。俺と結婚してください。」
「はい…!」
ライアはそう言ってウィンドウを操作すると、アスナの目の前にウィン
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