第52話<電気羊の夢>
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「青葉も艦娘に、こんな変化があり得るのかな? ……って不思議だったんですけど。でも美保で起きつつある事実は受け入れようと思います」
「は?」
何のことだ?
「つまり、あの日向が司令には心を開いている証拠だと思うんです」
「……」
彼女は大きな瞳で続ける。
「日向だけじゃありません。他にも何人も……あ、でも誤解しないで下さいね。それって青葉も良く分からない感情ですけど艦娘と人間の感情の交流は対等ではないんです」
「えっと……つまりそれは、どういうことかな?」
「はい、私たち艦娘から司令に向ける感情と司令から私たちに来る感情は種類が違う……としか表現出来ません。済みません」
難しいな。
「……何となく分かる気はするが」
青葉さんは頷く。
「えへへ……その感情って青葉も分かりませんけど……でも司令が来て美保が変わりつつあるのは事実です。それに、あの秘書艦も流れを作っているんですよ?」
「え? まさか?」
彼女は舌を出す。
「はい。でもこれは青葉が個人的にそう思うだけなので司令と青葉の間だけのやり取りにするってコトで約束して下さい」
……やれやれ、と思った私は「あれ?」と思った。
「その約束したいコトって青葉さんの感情も日向のそれと似ているのかな?」
「……はい、恐らく」
珍しく、ちょっと恥ずかしそうな表情をしている彼女。
「これは……きっと私たち艦娘が持つ夢なんです。それが今、もしかしたら叶うチャンスを迎えているのかも知れません」
妙に清々しい笑顔を浮かべている青葉さん。
「……」
私は、その時ふと思った。
この美保鎮守府というのは何か壮大な実験を目論んでいるのではないか?
「青葉……」
「はい?」
私が今考えたことを彼女に聞こうと思ったが止めた。きっと青葉さんの食いつきは良いだろうけど、まだ思いつきの段階だから。
「いや、何でもない」
「……」
何か突っ込まれるかと思ったけど彼女は青葉さんは黙っていた。
そもそも私の墓参だって休暇でも何でもなかった。秘書艦である祥高さんの思い付きだったわけだ。
その祥高さんといえば、あの秘書艦が何かの鍵を握っているのではないだろうか?
私が悶々としていると青葉さんが聞いてくる。
「司令、ちょっと疲れてません?」
「ああ、お盆の件や、この前、中国地方の統括官に絞られたばっかりだからな」
私が言うと彼女も苦笑した。
私は統括官の言葉を思い出していた。彼が渋い顔で言う。
「地元のパトロールに提督がわざわざ出向くのは良いとしてだ。解せんのは艦隊が大挙して大破した上に弾薬や砲弾の大量使用だ」
「……ああ、そのやり取り! 青葉も聞いてて手に汗握りましたよ」
彼女が喜ぶ。そ
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