第52話<電気羊の夢>
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が普通だよな……私の着任直後のゴタゴタは、あの深海棲艦(大井・仮)の執念の賜物だろうと思う」
「そうですね」
青葉さんは特に否定しなかった。
「あいつ」も本来の任務があるのか分からないが、ここのところ来襲しない。
私は確認がてら聞いてみる。
「だいたい舞鶴とか呉などは連日、敵襲があるんだよな」
「はい。青葉の聞く限りでは、そこに所属する艦娘たちが連日戦闘に駆り出されてます」
彼女は淡々と答える。
「扶桑や金剛は、ここは天国だと言うが……それで良いのかな?」
「……」
青葉さんは黙った。さすがに、これは彼女に聞く質問ではないか。
すると青葉さんは自分から話題を変えてきた。
「あの鎮守府の小型軍用車の始末書が大変だったと伺っています」
「ああ。さすが情報通だな」
私は苦笑した。
彼女は言う。
「もともと、あの型式は美保には2台しかないんですよね」
「知っている。その一台をこの前、水路でぶっ壊したんだ」
そこまで言うと私は青葉さんがニタニタしているのに気づいた。
「あのときの通信は録音しておけば良かった……」
「あ、こいつめ!」
私は怒る真似をした。
「きゃー、怖い」
おどけた彼女の反応に私は思わずハッとした。
「あれ? どうかしましたか?」
上目遣いに私を見る彼女。
一瞬静止していた私は言った。
「いや、ホントに艦娘と言えども普段は普通の少女なんだな」
「えぇ? 何だと思っていたんですか?」
少し口を尖らせる彼女だったが、ちょっと間を置いてから私に言った。
「まぁ、どの司令も提督も青葉たち艦娘を機械的なものとしか見て居ないようですからね、仕方ないです」
少し寂しそうな表情を見せる彼女。
「……」
何も答えられない私に彼女は続ける。
「いえ、司令を責めているのでは無いですよ」
「あ、ああ」
お互いに苦笑した。
それから青葉さんは、ちょっと整理するように言った。
「日向だって利根だって、それぞれ真面目とか自信家という一面も確かにありますけど」
ここで一呼吸置く彼女。
「でも、それが全てじゃないんです。司令は気分を害されるかも知れませんが日向と司令のやり取りを彼女が仮に意図的に無線で流したとしても、それは司令を困らせようとか言う考えは無いんです」
「意図的……」
顔をしかめて何かを言いかけた私を静止した彼女は一気に畳みかける。
「そもそも決まり事とか通信の機密保持には人一倍うるさいのが日向なんですよ。分かります? この意味」
「あ?」
何かを悟った私に青葉さんは『してやったり』という顔をする。
「まさか……そんな」
少し狼狽する私に青葉さんはスッと近寄ると、抑えた声で言う。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ