第四章 RE:BIRTH
翼刀立つ 男来たる
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ると。
『俺も同じさ。ある声にそそのかされ、自ら世界を破壊してしまった』
「え・・・・」
『俺に残ったのは、強大な力と、崩壊した精神だけだった。それでも一つの願いだけは、胸に持っていた』
「それはどんな?」
『俺の世界を戻したい。だが、その方法があまりにも歪んでいてな。世界を取り込んで精神だってまともじゃなかったんだな。妨害されたよ』
男が言う方法は「他の世界を破壊、吸収してそのエネルギーで再建する」という物だった。
確かに、許されるはずもない。
「じゃあ・・・あんたはこの世界を破壊しに来たのか?」
『あれから俺の中に取り込んじまった世界は俺という存在に馴染んでしまって、今ではただの力(エネルギー)になってしまった』
つまり、もうその世界は戻ってこない。
彼の世界は、彼の思い出の中だけにしか残らなくなってしまったのだ。
「同じだ・・・・すべてを破壊して・・・そしてすべてを失った・・・・」
『同じだ?バカ言うな』
「・・・違うと?」
『確かに、喪失したところまでは一緒だ。だからそこまでは共感できる。だが、お前はそれを取り戻そうと立ち上がったか?』
声は言う。
自分の方法は決して許されるものではなかった。
だが、それでも取り戻そうと必死になってあがいたのだ。
それに対し、鉄翼刀はそれを放棄した。
背負うだけして、そのまま逃げようとしたのだ。
そこが違うと、声は言う。
『ふざけた野郎だよな。お前にはまだ残されたものがあるってのに、お前はそれを見捨てようとしてやがる』
「俺に残されたものだと・・・・?そんなもの、何もない!!」
『お前が破壊したという物の中から、たった一つだけ残った物があるだろうが。お前はそれを認めない気か?』
その言葉で、翼刀の脳裏に一人の少女の姿が浮かぶ。
『そいつはお前が何もかもを失っても残り続け、そしてお前のそばにいてくれようとする存在だろ?』
「・・・・・ゆ・・・・」
『たとえ破滅に向かうことになっても、己の命が懸かっても、お前がどんな体たらくを晒しても、お前のために動いてくれていた少女がいただろう!!』
「唯子・・・・」
『そうだ。おまえはまだなくしていない。すべてを失ってなどいない。最も大切で、一番光り輝くものが、まだ残ってるじゃないか』
「だがオレにアイツを背負う資格が・・・・・」
『そんな格付け、誰が決める?お前は守りたいんだろうが!!助けたいんだろうが!!お前は何のために自分をそこまで機関にさらしたのだ!!』
「どんなものからも、あいつを守ると誓ったからだ・・・・!!」
『見ろ』
声が
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