第四章 RE:BIRTH
PLATINUM STORY
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「ハッ・・・ァぐっ!?」
目を開けた蒔風が、意識を取り戻す。
アリスの声が聞こえてくる。
腹の痛みに、顔が歪む。
一切の我慢などできようもない激痛。
だが、それでも蒔風の瞳は生き抜く力に満ち満ちていた。
腕が伸びる。
アリスの腕を掴もうと空を切る。
届かない
足を踏み出す。
無骨な鉄パイプが、さらなる激痛を腹部から全身に訴えかける。
ヌルリと血で滑り、少し前に出る。
腕を伸ばす。
届かない。
脚が、沼に嵌まったかのように動かない。
それでも、蒔風は涙を流しながらも前に進んだ。
彼の足を捉えているのは、一体何か。
腕を伸ばす。
届かない。
その現実に、蒔風はすべてを投げ捨てて楽になりたいと泣きたくなるが、それでも前に進む。
身体の内部を通る鉄パイプが、背中を引っ張る。
蒔風を後ろに引くのは、鉄パイプか、それとも恐怖か。
両方かもしれない。
でも、足を動かす。
腕を伸ばす。
ガクン、と身体が落ちた。
身体から、抜ける。
腹から別の激痛が走り、血が一気に流れ出す。
だが腕だけは前に出ており、崩れ倒れる蒔風のそれを、アリスの腕がつかみ取った。
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「!!掴みまし・・・ッ!?舜!?この状態は・・・舜!!!!!」
瓦礫の中に腕を伸ばしたアリスが、蒔風の腕をつかみ取る。
その瞬間彼がどんな状態かを把握し、もう一方の腕でその瓦礫を弾き飛ばして彼を引き上げた。
「舜、舜!!!」
頭を抱え、しゃがみこんで蒔風の頭を膝に乗せる。
彼女の力が流し込まれ、蒔風の出血が徐々におさまって行く。
「アリ・・・・ス・・・・・」
蒔風の背中の翼も現出し、傷を癒そうと力を回し始めた。
蒔風の状態を知り、佳景山と初原も駆けより、大丈夫かと声をかける。
その願いが翼に共鳴し、応急処置程度――――とりあえず失血死はしないレベルには回復していく。
「あ?助かったのかよ?まぁいい・・・それでも瀕死、まだ勝てるよなぁ?」
「ま、まて・・・見てわからないのか?もう俺たちだって・・・・」
「うっせ!!重傷人一人に”no Name”二人くらい片づけられねえのかよクズが!!」
彼らの姿を見て、機関の男が叫ぶ。
佳景山、初原に、すべてやられたわけではない
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