第四章 RE:BIRTH
PLATINUM STORY
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あったと?』
「そうだ。変わらない日常を謳歌しよう。日々の中の小さな変化を楽しもう。それはとても小さなものだ。だから、人々はそれを見つけようと一生懸命に生きている。一生懸命に、それを守る。それは、些細なことで崩壊してしまう、本当に脆いものだから」
『覚悟が決まったようだな、蒔風舜』
「ああ」
『生きたいか?』
「ああ」
『何のために?』
「あいつらと、一緒に生きていくために」
『そのために、何をすべきかわかるな?』
「ああ」
『では最初の問いに戻ろう、蒔風舜。君は、この世界が好きか?』
「嫌いだ。でも」
『あぁ・・・そうだよな』
「でも、この世界には守りたいものがある。そのためにだったら、この世界も守ってみせる」
『・・・・わかっていたさ。その答えは』
「ま、まて・・・お前は一体誰なんだ!?」
突風が吹き荒れる。
目を開けてられない。
腕で顔をガードし、その隙間からシルエットが見える。
そのシルエットがドンドン遠くへと去って行ってしまう。
『俺が誰かだって?その問いほど本末転倒なものはないぜ?』
「誰なんだ・・・・お前は・・・どうして俺の心を知る?どうして俺のあり方をそんなにも言い当てる?」
『当然さ。俺は今までお前を守ってたんだからな』
「え・・・・・?」
そして、一気に遠ざかる。
まるで、今度はこちら側も後退して行っているかのような勢いで姿が見えなくなる。
否、もしかしたら遠くに行ったら見えなくなったのではなく「小さくなって消えるから遠くに行ったと錯覚している」だけかもしれない。
『俺は消えるよ。だが忘れるな?人間、誰だって自分の理想像は持ってるもんさ。お前はそれを大仰にしすぎただけだ。この「俺」だって、立派なお前という人間の中にいる要素なんだぜ?』
「まさか・・・お前が・・・・」
『さあ!!蒔風舜よ!!蓋の創造主よ!!』
「俺を・・・導いてくれたのか・・・・?」
『戻/行ってこい。あの地獄だという世界で、どれだけ楽しみ、幸福に染め上げるかがお前の人生の命題だろ?』
「ああ・・・ありがとう」
『礼を言う必要はないだろ』
「でも・・・ありがとう。こんな俺を、何年も守ってくれて」
『主人公として存在した蓋だ。これぐらいやってやるさ。そして、真打登場、だ』
「――――――――」
蒔風が叫ぶ。
それは風にまみれて聞こえない。
『銀白の翼に祝福あらんことを!!!』
最後の声。
そして、目を閉じ、開く。
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