第四章 RE:BIRTH
PLATINUM STORY
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だ。「俺がやる。お前を守る」』
言葉に、蒔風の口が止まる。
『いつだって一人で戦ってきていた。守る、ということはその人間を、物を、背後に置き去りにして自分だけで敵に向かうことだ。それは決して一緒になどではない。それは必ずしも「仲間」のあり方じゃない』
「じゃあ、なんだ」
『それは「王と従者」の関係だ。王が前に出ようとも、従者であるお前が最後にはその身を犠牲にしても必ず守り通す。なるほど、その姿勢は立派だ。神々しいまでに誇り高い道だろう。だが、お前が求めるものはそこにあるのか?』
「おれが・・・求めるもの・・・・」
『そこで「王」が従者も守ろうとするのなら、それはその関係を越えた「仲間」だと言える。だがどうだろう?お前は仲間だという彼らに「自分を守らせようとしない」じゃないか。自分を守ることを、許さないじゃないか』
「俺に死の恐怖はなかった。そんな男に「自己犠牲」も何もない。だから、自分の命を真っ先に懸けられた」
『そうだな。その「理解」が、何よりお前を一人で戦わせた。自己存在の希薄。自らの命の軽視。それがお前をそうさせた。では、今は?』
「・・・今?」
『そう、それを失った――――否、取り戻すことができたお前は、今どうやって戦場に立ちたい?』
「どう・・・やって・・・・・?」
『さて、質問を繰り返そう。蒔風舜、お前は今、何を守りたい?』
「なにを・・・・・」
『問い直すのならばこうだ。「蒔風舜が今、戦場に立つほどに覚悟を決めるような、背負う価値のある物とは何か」』
「背負うもの・・・」
『それは、世界か?』
「世界じゃない。世界は嫌いだ」
『自分の命か?』
「そもそも、それは胸に宿すものだ」
『誰かの命か?』
「見知りもしないどこかの誰かの為に命を懸けるなんて、馬鹿げてる」
『では、何のために?』
「そうだ・・・それは見知った誰かだ」
『だれだ?』
「仲間だ」
『今更背負うと?』
「・・・・今さらかもしれない」
『そうだな』
「でも、今からしちゃいけないことなんて理由は、ない」
『それも然り。真に正論』
「そして、それは俺が背負えるほど軽いものじゃない」
『では?』
「共にいたい。並んで立ちたい。同じ世界で生き、同じ歩幅で歩み、同じように死んでいく。俺はあいつらを、あいつらとの日常を・・・・守りたいんだ」
『日常は怠惰で、無変化で、ぼんやりとしたものじゃなかったのか?』
「でも、その日常の中に輝きがあることを知った」
『日常の怠惰から逃れようとして死を理解し、それでも得られなかったものが最初から
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