第四章 RE:BIRTH
戦う君は 美しい
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・・・出来るのだろうか。あの力を前にして。
前進する力。
踏み出す勇気。
どんな状況でも、彼女はあきらめなかった。
街が危機にさらされている時も
自分が洗脳され、取り戻せない時も
不必要だと言われて、処分されそうだった時も
洗脳され、街から救出された時も
そこから目覚め、絶望を知った時も
想い人が敵だと、再認識した時も
それを奪う相手が、最強最悪の翼人だと知った時も
そう、たとえ、どんな時も
万人が崩れて、立ち上がれないような絶望の淵で
たとえ自分の力が及ばない領域にそれがあろうとも、彼女は決して諦めなかった!!!
嗚呼、それの何と美しいこと。
見よ
彼女が歩むその跡に残る、気力の粒子を
星のように煌めき、闇夜に映るそれは立ち向かう光
それを見て、翼刀も拳を構える。
「・・・・こいよ・・・お前が終わらせてくれるなら、それが一番いい・・・!!」
「バカ言わないでよ」
唯子の声には――――
なぜだろうか、煌めきがあった。
まるで光っているかのような声。
透き通る、音。
五体のすべてが呼びさまされるかのような感覚。
「終わらせるんじゃ・・・ない。過去から今に、そして未来に、全部続いている!!終わりなんてどこにもない!!!」
ではなにか
それの問いに、唯子は答える。
「こういうのはね、始まりでも終わりでもなくて」
――――――区切り、っていうのよ
ドウッッッ!!!
綺堂唯子が駆ける。
拳を握り、振りかぶる。
(唯子が放つのはパニッシャーパンチ!!不動からの拳なら俺の方が歴は長い!!)
だから、翼刀は動かない。
拳を前にし、触れた瞬間に衝撃を叩きこむつもりだ。
翼刀はこう思った。
唯子が振りかぶるのはあいつが「そういうもの」だと思っているからだ。
あいつは何かとすぐに動くやつだった。
まず行動、という人間だ。
だからうちの流派にも馴染まなかった。
あれだけ言われていたのに、いまだ突きのモーションを振りかぶる。
不動拳は構えていればいいどころか、熟練した者は触れていさえすれば打てるのが優位点なのに。
あれではタイミングを合わせてくれと言っているようなものじゃないか
「ッ・・・・」
いや、これ以上はやめよう。
昔の思い出は毒にしかならない。
だが、彼は気づいているのだろうか?
この思考そのものが、すでに前進への第一歩であることに。
止まり、思考する
初歩の初歩である「不動」の段階だということに。
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